ポジコロ入院記アフター

ポージィ

1.退院後

〇最初に


以前書いたポジコロ入院記、今読み返すと色々と荒んでるし、イライラしてるのが露骨に文章に現れていて反省する点も多いなという印象。しかしまぁ、アレは全部その時の正直な思いであって、面白おかしく書いていた点もありましたからね。今回はそう言った反省も含めて、他の医療関係者も参考に出来るように真面目に書きます。淫夢語録とか控えめでね。


〇退院後の現場


ポジコロ本編の方でも書きましたが、私は入院からホテル療養に移って退院するまで約3週間を要しました。その間に3日間に渡る2度の発熱があり、肺炎像も出ていました。


当時の行政の動きですが、今と違って再発や再感染といった情報も少なく、ホテル療養を退所後は4週間の療養期間が設けられておりました。ここは本編の最後の項目でも一部書いた事ですが、私の働いていた現場はというと、その間も入院患者を抱えたまま運営を続けていました。


〇在院患者を全て放出するまで


もう伏字にする必要もないので全てを書きますが、感染対策がガバガバだった職場は職員の9割近くが感染し、ほぼ壊滅的な状態にありました。外来は全て停止し、残った患者の放出を優先していましたが、中には癌で終末期の患者さんも感染してしまっており、そのままお亡くなりになった方もいました。


ちょっと記憶が曖昧なのですが、最終的に全ての患者さんの放出が完了したのは、私の自宅待機期間が明けた直後位だったように思います。結構長く残っていたような記憶があります。最終的には計7人位は亡くなっており。院長は「殆どがお看取りの方で、直接コロナが原因ではない。」的な事を言っていましたが、感染させてしまったのだからそれはもう言い訳にしかならないんだよなぁ。とはいえ、この時彼は「亡くなられた事は事実なので、それは自分の十字架として背負っていく。」と、決意めいた事を口にしていました。・・・が、この事に関しては後々の展開で評価が分かれます。


〇患者放出後


患者を全て放出が完了したあと、当院は業者による清掃が行われました。いわゆるコロナ専門の特殊清掃というやつです。私はこの間4週間ほど自宅待機があって、復帰後はしばらく院外処方箋の確認作業に従事する事になりました。


多くの外来患者を抱えていた当院ですが、今後の運営方針が決まるまでは勝手に外来を再開するわけにはいきませんでした。何故なら、当院は全国に先駆けて集団感染を発生させてしまったという事実もあり、次にもう一度クラスターでも発生させれば、次は行政処分すら喰らいかねないからです。


その為、外来患者は新たな受診先を見つけるまでの間、再診に限り全て院外処方として、指定の調剤薬局にFAXで受け付けてもらい、後日処方箋を郵送という形での対応になったのです。新患はもちろん受けれません。この対応はしばらく続き、中には年末になるまで次の医療機関が定まらず、何度も院外処方を送った患者さんもいました。


私は薬剤師でしたので、当面の仕事はこういった院外処方に関する外部からの問い合わせ対応や、記載内容のチェックという業務がメインとなりました。


〇アビガンの話


久々に来た現場では、私が休みの間に奮闘してくれていたパートの皆さんの苦労の片鱗があちこちに見受けられたわけですが、まずは治験薬であるアビガンがどのようなルートで入手され、どのくらい使われたのかを把握する必要がありました。

しかし、私の入院中に院長がバカスカ使いまくっていたため、最終的に何症例に使われたかなどの情報は追う事が出来ませんでした。職員に死なれるとヤバいと踏んだのか、院長はPCR検査未確定の職員にすらアビガンをバラまいており、同意書も取っておりませんでした。入院患者に対しては同意書は取っていたのかもしれませんが、もう定かではありませんでした。しかも、用量も間違って渡していました。この件は転出先の病院薬剤部から指摘されて修正されたみたいですが、初日18錠、2日目から8錠という用量を、誤って2日目から9錠で出し続けていたようです。アホみたいな話ですが、すべて事実です。


ため息が出るような話ですが、まずは残ったアビガンの量と、納入されたアビガンの数量から大まかな使用数を記録し、今後の流動数を把握する体勢を作りました。


私の業務は、ようやくそこから再開し始めたのです。

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