【事前準備プロット】とある人魚の推理と追想

「海辺」を舞台にした小説人魚が恩人を殺したのは何者か推理する話。世界観:文明レベルは現代。人外種族が当たり前にいる世界。魔法はないのでハウダニット・フーダニットは有用な概念。人魚はフーダニットの推理はしない(人魚の身体では陸の事件の調査は困難であるため)。ハウダニットから推理を始めて関係者の中にそれを実行可能な者がいたら、それが犯人というスタンス。ただし叙述トリックモノで、実は犯人は推理している人魚自身。動機は、恩人に(人外種族を剥製にしたいという欲望を抑えきれない)自分を殺してほしいと頼まれたから。

1. 事件発生

2. 助手役の人魚が事件のことを主人公に伝える

3. 助手が推理をせがむ

4. アンナが推理を語る(わざと一ヶ所誤謬を入れる)

5. ナディアは満足して帰る

6. 渡良瀬

7. 主人公はなんかエモいこと言って〆



## 事件メモ


曜日等は2018年に準ずる。


被害者: 佐々木鈴乃ささき・すずの

富豪佐々木家の孫娘で16歳。高校一年生。夏休み明け直前の8/19(日)に浜辺で遺体が発見される。


第一発見者は地元の中年男性。浜辺をランニング中に倒れている人影を見つけて、発見、通報。中年男性と被害者に関係性は特に見当たらない。


佐々木鈴乃の死因は溺死。ただし、服を着ていたことから海水浴中の事故とは考えがたい。靴(佐々木家別荘の玄関から消えていたサンダルとみられている)は犯人に持ち去られたか海水に流されたと見られている(犯人に持ち去られた可能性のほうが高い)。


何に使ったのかは不明だが、古びた三方枠付き四輪台車とバケツ×3が死体のそばに放り出されていた(海水が入り込んでおり、淡水の検出はほぼ不可能)(台車は底が四角形で、横から見ると台形になっている)。台車の跡と一緒に足跡が一つ見つかっている(足跡と鈴乃の足の大きさは一致せず。監視役の渡良瀬と靴の大きさが一致している)。このことから警察は別のところで殺害した死体を台車で運んだのではないか、との見方を強めている。


《鈴乃の肺から海水は検出されず、淡水によって溺死させられたことが警察の調べで明らかになっている。よって、人魚が犯人である可能性は低いとされる。》

《鈴乃は過去、異種族に対しての傷害致死事件を起こしている。これは佐々木家が示談によってどうにか隠蔽した。そのため鈴乃には監視がついていた。》


佐々木家は事なかれ主義と囁かれており、佐々木家に悪評をもたらすような事実は全て隠蔽されてる。《》内の情報は隠蔽されてるもの。


人魚は海水で暮らす。そのため、淡水は人魚にとって毒となる。人魚はエラ呼吸と肺呼吸を使い分けることができる。

人魚は一日に約3時間だけ、人間の足を得ることができる。が、一般に人魚が変化した人間は脚が貧弱で重いものの持ち運びには大きな苦痛を伴う。ただし上半身の筋力は人間以上にある。


人魚が淡水を使って人間を溺死させたミステリ小説がこの世界には存在する。


## アンナの推理


1. 死体発見現場近くに住む人魚である自分たちのもとに警察が来たのは一度きり→警察の容疑者は人魚ではない→海水ではなく淡水で殺されたと見るべき(この段階でミステリ小説の話を出しておく)

2. 死体発見現場には台車と空のバケツがあった。足跡は一人分。台車もバケツも持ち主は不明なので犯人の私物と考えられる。

3. 犯人は犯行現場を偽装しようとしていた。運ばれたように見せかけたかったか、発見現場で殺害されたように見せたかったか。

4. 鈴乃の周辺にそれらしい男性の姿はない。監視役の男性にはアリバイがある(と推定。靴の大きさが同じなのに警察が逮捕に踏み切らないため)(アリバイは佐々木家が用意したもので、実際は監視役の男性がその夜の一部始終を目撃している)。

5. 以上から、犯人は監視役の渡良瀬に罪をなすりつけたがっている何者かとアンナは推理する。





## 真相


鈴乃が異種族に対して傷害致死事件を起こしたのは、異種族への憧れゆえだった。そして今回も、アンナへの憧れゆえにアンナを淡水で殺そうとした。が、憧れゆえに殺害をやめて、自分を殺すように嘆願。アンナはそれに従った。

鈴乃が台車とバケツに汲んできた水を使ってアンナは鈴乃を殺害。鈴乃が犯罪を隠蔽するために履いてきた渡良瀬の靴と(この時点で渡良瀬と鈴乃は一種の共犯関係にあった。鈴乃は、自分がもしアンナを殺してしまったらそのときは自分も死ぬと渡良瀬に伝えていた)、それとは別に持ってきたサンダル、両方をアンナは回収し(そうしないと真相が判明しかねない)、隠し持つことに。見つかれば、犯人であることが確定してしまう物品だが、人魚はそれでも鈴乃との「繋がり」のため、捨てる気にはなれないのだった。


真犯人: 戎・アンナ《えびす・-》


## 過去


ある日、鈴乃は海辺でアンナを見つけた。アンナは陸で死にかけていた。原因は、長時間陸にいたことによる身体への大きな負担。鈴乃は倒れるアンナを海に戻す。アンナは鈴乃に感謝の言葉を伝える。

鈴乃は半ば監禁されるようにして丘の上の佐々木家別荘で暮らしていた。

それからよく会うようになった鈴乃とアンナはたくさんの話をして、親しくなった。これが、7月頃のこと。

二人の逢瀬は二人だけのものであり、その詳細を知るのは、当事者のみ。


## 登場人物


* 佐々木・鈴乃……被害者

* 戎・アンナ……真犯人にして探偵

* 須佐之・ナディア……狂言回し

* 渡良瀬・将也……鈴乃の監視役


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