第15話二人で登校
翌日、通学路を歩いていると結野先輩に出くわす。
「牧平くん、昨日はごめんね。まだ機嫌悪いの?」
「そうでもないけど」
彼女が隣にきて、歩く俺たち。
「ごめんね、本当にごめん。私以外に気を取られているから、つい。許してよ、どうしたら許してくれるの?」
俺に許しを乞う彼女。今にも泣き出しそうだけど、身体に刻み込まれた恐怖があり、許してと言われても。
「制裁を加えないなら、許すかも」
曖昧にこたえた。
「ううぅ。だって私以外と楽しそうなのを見ると胸がきゅうぅって、締め付けられて......手が出るの。すぐには直せないけど、だめかな。牧平くん」
小さく唸って、聞いてきた。
握る手に力がはいる彼女。
「わかりました。怒ってないですけど、許します」
「ありがとう、牧平くん。そろそろ牧平くんのご家族に挨拶をしたいの、伺ってもいいかな?」
「そろそろってほどでもないし、それは何がなんでも無理だからっ絶対!」
大声で断る。周りにいた、学生やスーツ姿のすれ違う社会人の視線が集まる。
「頑なになっているのは、私が嫌いだからなの?」
「ちがっ母さん達はいいかもしれないけど、一人問題があるから。居づらくなるから、平穏にくらせなくなりそう......だから。いくら彩良さんでも無理だよ」
「わかったよ。今は諦める。昼休みは空いてるかな」
「空いてるよ、屋上?」
「空き教室はだめかな。暑いから」
「空き教室ですね」
下駄箱で彼女と別れ、教室に向かう。
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