第20話 守るべきだったもの

 D班デルタの快進撃は続いた。


 前日に一度退いたあの交差点を取り戻し、翌日にはさらにその先へ。真っ先に敵の陣地へと飛び込み、集まってきた黒スーツをほふっていく。


 その功績の裏にあったのは、班員個々の能力の高さや爽平の指揮の上手さだけではない。


 爽平の勘がえわたっていた。地図を見ただけで、黒スーツがどの辺にいて、どう攻めれば効果的なのかわかるようになっていた。自分ならこうするだろうという予測が、見事にはまる。


 もちろん、たかが個人の勘に頼ることはできない。だから第二、第三のプランは用意されていたし、現場は常に臨機応変に動いている。


 しかし司令部には爽平の勘に一定の信頼を寄せている細川がいたし、立て続けに勘を的中させ、戦場での活躍も今まで以上ともなれば、作戦行動における爽平の発言力は高まった。


 その結果、飛行部隊オメガの出撃回数が減った。


 爽平は別にオメガをかばっているわけではない。


 集めた敵をミサイルで一網打尽いちもうだじんにする戦い方は一見効率がいいが、そのあとで全滅を確認するのが手間だ。生き埋めになっていた黒スーツを見逃し、後で味方が殺される事件もあった。


 また、ミサイルによる爆撃は、建物を崩し、進路の選択肢を減らす。瓦礫がれきによって道路がふかがれ、車両で移動できなくなるのも不便だ。ミサイルで攻撃した所は、基本的に車両が通れなくなる。防衛線がきずかれて安全性が保障されているのなら、徒歩よりも車で移動できる方がいいに決まっている。


 以上の理由により、光弾の発射元から敵の数と位置を把握できる地上戦の方が確実だ、と思っていた。


 ドローンの爆弾も同じだから、爽平は、可能なら、落ちても邪魔にならない所に誘導することもあった。鈴森たちも、爽平の意図いとをくみ取って、相応の動きをしていた。


 もっとも、そう思っているのも、それを実現できるのも、デルタだけだったが。



 ついに、爽平たちは再びドームへと接触できる所まで来た。


「入るとしたらここからです」


 爽平は指令室の中央にあるテーブルの上の一点をとんとんと指の先で叩いた。そのテーブルの上面はディスプレイになっているが、もちろん何も映し出されていない。上に地図が広げられているだけだ。貴重な電気をこんな所で無駄にはしない。


 指差したのは地図に綺麗にえがかれた円周上だった。爽平が今いる基地と円の中心を結んだ線から少しずれている。


「敵がいるのは――ここと、ここ」


 続けて爽平が示した地点に、双六すごろくの駒のようなものが置かれる。円の外側、最初に指差した地点から少し離れていた。


「静かに向かえば抜けられます」

「根拠はナンだ?」

いて言うなら――」


 細川に聞かれた爽平は、言葉を切った。


 ここには託児所があった。勤めに出る親が預けやすいようにだろう。たぶん子どもの死体もある。だからここでは戦いたくない。


 さすがにその理由を口に出すのははばかられた。


 黒スーツがそう思うわけがないからだ。現に爽平はこれまでたくさんの子どもの死体を見て来たし、避難所に攻め込まれれば大人子ども関係なく虐殺される。黒スーツが逃げる子どもを撃ち殺した所も見た。


「――なんとなくですね」


 またそれか、と周りの上官たちはあきれた顔をした。


「オマエの勘は当てにしてるけどな、こじつけでも根拠を出してくれないと採用できない」


 細川が苦笑し、結局爽平の進言は却下された。



 * * * * *



「明日はドームなんだって?」


 下着をつけながら、美彩が言った。


「いや、たぶんまだ。先に周りを片付けるから」

「そうなんだ……」

「どうした?」

飛行部隊わたしは行けないから。爽平くんを守れない」


 美彩が寂しそうにした。蝋燭ろうそくの光で顔にできる陰影が、余計にそう思わせる。


 戦闘機はドームには入れない。だから、主戦場がドームの中に移った後は、飛行部隊オメガの出番はない。


「その方がいい」


 爽平は美彩を抱き寄せた。はだかのままの上半身に、伸ばした美彩の髪が流れてくすぐったい。


「美彩、もう一回」

「駄目だよ、もう戻らなきゃ」

「泊まっていけばいいだろ」


 一人部屋になった今はベッドは一つしかなくなってしまったが、二人で一緒に眠ればいい。


「駄目。ちゃんと休まなきゃ」

「じゃあするだけ」

「駄目だって。あっ、爽平くんってば、ん……っ」


 爽平は抗議の声を上げる美彩の口をキスでふさいだ。 


 

 * * * * *



「ドームの周辺の掃討ってことは、今日は中には入らないんですよね? ならなんで俺たちこれ着てるんですか?」


 鈴森が自分の迷彩服の襟元えりを広げてのぞきこんだ。


 爽平たちデルタの面々は、迷彩服の内側に敵のスーツを着こんでいた。人数は爽平を入れて五人。


 その他、今回の作戦に参加するA班アルファB班ブラボーの計十一人も同様だった。細川も来るかと思ったが、もうデルタにはついて行けない、と笑いながら断られた。


 下着をつけずに直接着ているスーツは、肌にぴったりと張り付くような感触だ。中に入っていたのがスライムだったというのもあって、いい気持ちはしない。


 あとでかぶれたりしないかと心配していた班員もいたが、以前ドーム通過の実験体となった鈴森はなんともなかった。爽平も過敏な方ではないから大丈夫だろう。


 高機動車に積み込んだ人数分のリュックの中には、黒スーツの抜け殻が入っている。


「話聞いてたか? 外にいなかったら中に入るんだよ」

「先輩の見立ては?」

「いる」

「ならやっぱり要らないじゃないですか」


 鈴森が不貞腐ふてくされたような顔をした。


 爽平の勘が当たれば、今日の作戦区域内に黒スーツはいる。余裕があればドームに入るようにとは言われているが、探索して戦闘に入ればそんな時間はなくなるだろう。無理をする気はない。準備を整えて明日トライすればいいのだ。


 デルタは基地を出て高機動車で作戦区域へと移動した。そびえ立つドームへと近づいて行く。幹線道路上の瓦礫がれきは後方支援部隊によってかなり撤去されていた。黒スーツたちの移動手段は徒歩だ。機動性で勝ることは戦闘を優位にする。


 とはいえ、守備部隊がいる最前線に近づくに従って、車両では通れない道は増える。そこまで手が回らないのだ。デルタは迂回うかいしつつ、ぎりぎりまで進んだ。


 最前線まで移動した所で、爽平たちは車から降りた。ここからは歩きだ。


 できればこの車でドームに突っ込んでしまいたい所だったが、それは土台無理な話だった。ドームを抜けられるのはこの黒いスーツだけだ。ドローンの黒い塗料はまだ再現できていない。黒スーツを裁断して車両に貼り付ける案も出されたが、それを試す機会はまだ先になるだろう。


 装備を整えて、守備隊に車を明け渡した。積み荷のほとんどは彼らへの補給だ。


 すでに無線の通じない地点にきてしまっているが、基地からここまでは有線回線が引いてある。デルタたち作戦部隊が現地に無事に到着したことはもう伝わっているだろう。司令部が何も言ってこないということは、作戦は予定通り続行だ。


 銃の装填そうてんを確認して、アルファとブラボーの準備が完了したことを確かめてから、最前線の外側、敵の陣地へと足を踏み出した。


 今回の作戦はこうだ。


 爽平たちデルタは、左右後方にアルファとブラボーを従え、ドームを正面にして右手の方向へと進む。敵を掃討しつつ作戦区域の端まで来た所で、アルファを置いて見張りとし、今度はブラボーと共に左手へと進む。左端にブラボーを置き、中央地点まで戻ってきたら連絡員を送る。防衛部隊を待ち、防衛線を構築できたら作戦終了だ。


 直進すればドームまで手が届く、という距離であること以外、特別変わったことをするわけではなく、いつも通りに終わると思っていた。


 そのときまでは。




 作戦通り、ドームを正面にして、やや右の方向へと進路を取る。安全第一に慎重に歩みを進めていった。なんたってドームは目前だ。勘は勘として念頭に置きつつも、いつどこに敵が現れてもおかしくないように行動するのは当然だった。


 だが敵は現れず、デルタは順調に進んで行った。


 もうすぐ爽平が敵がいると予測した地点に着く頃、改めて気を引き締めようとした時、かすかに銃声が聞こえたような気がした。


「鈴森、今なんか聞こえなかったか?」

「銃声? 音が反響していて方角がわからないですね。防衛線の方でしょうか」


 少なくとも、後方のアルファとブラボーではないことは確かだった。そこまで近くはない。


 加勢に行くべきか、と一瞬考えた。他の隊の生き残りかもしれないと思ったのだ。防衛線の方は心配していなかった。十分な装備はあるし、デルタが戻るよりも早く応援が到着するだろう。


 作戦続行だ。


 爽平がそう判断した時、鈴森が声を上げた。


「先輩!」


 指差す方を見れば、信号弾が上がっていた。緊急の連絡手段だ。敵に見つかることを考えてもなお急ぎだと判断されたときにのみ使われる。ドームに近すぎて無線が使えないからだ。


 その色は赤――応援要請だった。


「なんで……?」


 鈴森の戸惑いの声は、信号弾が上がった方角に対してだった。


 爽平たちから見て左斜め後ろだ。だが防衛線の方角とは違う。


 そして距離からすると、信号弾が発射された地点は、爽平が黒スーツがいると予想した地点。そのもう一方の辺りだった。


「あいつら、まさかっ!」


 爽平が思い至ったのはブラボーだ。デルタたちから離れて単独で向かったのではないかと思ったのだ。


 すぐさま指示を出して信号弾を撃たせる。位置確認用の黄色だ。アルファからはすぐに応答があった。予定通り、デルタの右後方近くにいる。


 しかし、ブラボーからは上がってこない。


 と、最初と同じ場所から再び赤の信号弾が上がった。続けて黄色も。


 ブラボーに間違いなかった。勝手に隊列を離れたのだ。


「馬鹿かっ!」


 爽平は悪態をつくと、アルファの方向へと進路を変えた。アルファも事態を把握しているはずだ。合流し、ブラボーの救援に向かうことを伝えなければならない。


 すると、進行方向から銃声が聞こえてきた。アルファが敵に見つかったのだ。想定内だ。仕方ない。


 アルファの元にはすぐに着き、横から加勢する。その場はすぐに収まった。


 爽平は、アルファのリーダーに、ブラボーが単独行動したらしいことを告げた。アルファも同じ見解だった。救援に向かうと言うと、苦々しい顔をされた。気持ちはわかる。


 信号弾を打ち上げて、ブラボーにもそのことを伝えから出発した。


 とはいえどこに敵がいるかわからない状態で、走って行くわけにもいかない。前回の救援の時と同様、自分たちの安全を優先した。


 そろそろブラボーが見えて来るというときになっても、ブラボーの銃声は減らなかった。何とか持ちこたえているようだ。ドローンも今の所見えない。


 案外、敵にびびって助けを求めただけかもしれないな。


 爽平がそう思った時、きぃぃぃんと甲高い音が聞こえてきた。


 一瞬で頭上を飛び去っていく戦闘機。


 飛行部隊オメガが? 何でここに?


 考えるまでもない。ブラボーが呼んだに違いないのだ。デルタが向かっていることは知っているはずなのに。


 まあ、オメガを使わないのはデルタくらいだ。他の班が要請することは多い。だからブラボーが呼んだのは間違いではない。むしろピンチなら当然のことだった。


 だがその考えはすぐに変わる。


 戦闘機を追いかけて、異常な数の光弾が飛び始めたからだ。ミサイルが発射されたが、光弾は減らない。


「ちょっ! なんですかあれ! 多すぎじゃないですか!?」


 鈴森が言い終わらないうちに、一機が被弾して墜落した。


 ぞわりと背中に悪寒が走った。


 美彩なわけない。大丈夫だ。


 心を落ち着かせようと、自分に言い聞かせる。今までもたくさんの戦闘機がちた。だが美彩に当たったことはなかった。爽平と同じだ。奇跡に今まで無傷できている。


 しかし、どうにも嫌な予感がしてならない。


 すぐにでも黒スーツの数を減らしに行きたかったが、デルタは動けないでいた。近づけばミサイルに巻き込まれる恐れがあるからだ。


 オメガがミサイルを全て撃ち切った。これで味方に撃たれる心配はない。


「行くぞ」


 爽平が落としていた腰を上げた時――。


 また一機、光弾に捕まった。煙を上げた機体が宙を横切っていく。


 ――美彩だ。


 直感的にそう思った。


 気づいたときには爽平は瓦礫がれきを乗り越えて走り出していた。


 戦闘機が落ちていったのは、ブラボーのいる方向とは少しずれていた。黒スーツはいないはずだ。もし戦闘のど真ん中だったとしても爽平は向かっただろうが。


「先輩っ!」

「来るな!」


 後ろの鈴森に怒鳴り返す。


 地面の亀裂きれつを大きく迂回うかいしたその足元で、チュン、と音がした。


 正面に黒スーツがいた。


 くそっ。こんな時にっ!


 爽平は止まらない。腰だめに構えたアサルトライフルを連射する。爽平の左右を抜けた光弾が、アスファルトに当たる音がすぐ後ろでした。


 遅れて背後から銃声が聞こえ、爽平の前方の建物の壁で弾丸が跳ねた。おそらく鈴森だ。ついてきたのか。来るなと言ったのに。


 爽平はジグザグに移動しながら、銃弾を黒スーツに浴びせた。倒れたそれを飛び越えて前へと駆ける。


 通りを曲がった時、ずっと向こうに墜落した戦闘機が見えた。上手く機体を滑らせたのか、翼がクッションになったのか、炎上はしていなかった。


 横倒しになった機体のコックピットの窓が上に跳ね上げられていて、パイロットの上半身がだらりとはみ出していた。


「美彩っ!」


 ヘルメットの頭からは誰なのかわからない。しかし、やはり爽平は美彩だと思った。


 いつ爆発するかわからない。早く助け出さないと。


 爽平は走る足に力を込めた。


 と、戦闘機の裏側から、人影が現れた。


 黒スーツだった。


 爽平の全身の毛がさか立った。


 懸命に血液を押し出している心臓がぎゅっと縮こまった。


 銃口がパイロットに向く。


 美彩が。


「やめろぉっ」

 

 美彩がっ。


 爽平は叫びながら銃を連射した。


 しかし、当たらない。


 あれだけ練習し、今日も何発もやつらに撃ち込んだはずなのに。


 なんで、なんでっ!


 周りに銃弾が飛んでいるのに、黒スーツは爽平の方を見ない。


 ――やめてくれ。それだけは。頼む……!


 その肩口にやっと銃弾が当たったかと思うと、次々に銃弾は黒スーツに当たり、その衝撃で黒スーツは下手くそなダンスを踊った。


 だが――遅かった。


 光弾がパイロットの背中を貫いていた。超至近距離で放たれたそれは、大きな穴を開けていた。見る間にパイロット服が血で黒く染まっていた。


 爽平は足を緩めた。


「あ……」


 ころり、とヘルメットが地面に落ちた――パイロットの頭ごと。


 後ろを向いたヘルメット。首元からこぼれた血が、胴体から流れ落ちた血と混ざっていく。


 よろよろと力なく近づいた爽平は、その前で足を止めた。震える手をヘルメットへと伸ばす。持ち上げたそれは、思ったよりも軽い。


 心臓の音が大きすぎて周囲の音は何も聞こえなくなっていた。


 ゆっくりとヘルメットの正面を自分に向ける。


「ああああああああああぁぁぁぁぁ!!」


 そこにあったのは――絶望だった。




 爽平はその後のことを覚えていない。


 後から鈴森に聞いた所によると、爽平の指示を無視して追いかけてきた鈴森と元の場所に戻り、指揮をって三十体以上いた黒スーツを殲滅せんめつ。ブラボーを救出した後、基地に帰還したらしい。美彩みさをその場に置いていくことも即断し、取り乱すことなく、単独行動をした肥田ひだを一発殴った以外はいつも通りだったそうだ。


 爽平が自分を取り戻したのは、宿舎の自分の部屋だった。ロウソクで照らされた自分の影が、ゆらゆらと揺れていた。


 もう美彩はいないのだ、と思うと、心にぽっかりと穴が開いたような……いや、心がそのまま穴になってしまったような感じがした。


 美彩とはデートに行ったことがない。好きだと言ったこともない。体だけの関係とも言えるような付き合いしかしていなかった。


 唯一それらしいことと言えば、誕生日プレゼントを贈り合ったことくらいだった。爽平はブレスレットを贈ったが、美彩からは手作りのお守りをもらった。私はお店にはいけないから、と決して上手いとは言えないそれを恥ずかしそうに渡してきた。今も爽平の胸ポケットに入っている。


「俺、好きだったんだなぁ……」


 失って初めて、自分の感情に気がついた。好意は持っていた。好きだとも思っていた。だが、自分で思っていた以上に美彩を想っていたことを思い知った。


 死にたくない――その一心でここまでやってきた。死への恐怖が爽平の原動力だった。


 しかし今日初めて、自分の身の安全を考えずに行動した。とにかく美彩を失いたくなかった。


 父親を、江口を亡くした時には出なかった涙がこぼれ落ちた。


 自分は守れなかった。たった一人の大切な人を。自分の命よりも大切な物だとは知らないで。


 もっと早く黒スーツたちを殺していたら。もっと早くB班ブラボーを助けに行っていたら。ブラボーの単独行動に気がついていたら。作戦を承諾しなかったら。訓練最後の試験で好成績をおさめて、自分がパイロットになっていたら。


 もしも、もしも、もしも――。


 過去のどこかの分岐点で別の行動をとっていたら、美彩は死なずに済んだのだろうか。


 ――やり直したい。


 強くそう思った。どの時点でもいい。過去に戻れたのなら、今度は絶対に美彩を殺させはしない。


 爽平は嗚咽おえつを漏らした。


 全てが夢だったらいいのに――。


 朝起きたら、父さんがいて、会社に出かけるのを見送って、急いで朝食を食べて、学校に行く。そんな日常の続きが始まればいいのに――。


 かつて何度も何度もそう願った。朝を迎えるたびに失望して、いつの間にか忘れていた願いだ。


 爽平は久しぶりにその希望を抱いて眠った。




 だが、翌朝現実を思い知る。


 今日は昨日の続きでしかなかった。


 肥田が憎くて仕方がなかった。デルタを出し抜いて自分がドームの一番乗りをしたかったらしい。身勝手すぎる命令違反だった。


 殴り足りなかった。そもそも殴った記憶もないのだ。顔が変形するくらいぼこぼこにしてやりたかった。


 そしてそもそもの原因は。


 全部あいつらのせいだ――。


 黒スーツのエネルギー摂取方法はわかっていない。だからなんだ。補給をてないのなら、皆殺しにすればいい。ここに来たことを後悔させてやる。


 爽平は起き上がったベッドの上で、こぶしを握り締めた。

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