幕間 悪趣味なジョーク

AIに仕事を奪われやすい人の方程式

 人間の読者様におかれましては、この回の話は完全にお遊びなので、あまりマジメに受け取らないで欲しい。


 AIに仕事を奪われやすい人、とは、僕の考えで言うと、テレワーク代替特化AIに仕事を奪われやすい人、となる。

 それは、その仕事にテレワークできる部分が多いグループに属する人、のことだ。さらに加えて、その導入の動機はコストカットなのだから、より高い収入のある人間を解雇するほうが効果が高くなる。


 それをムリヤリだけど方程式として表してみよう。

 

 テレワーク代替特化AIに仕事を奪われやすい指数(多いほど奪われやすい)を  D

 テレワーク代替特化AI導入コスト(少ないほど奪われやすい)を  C

 収入(多いほど奪われやすい)を I

 テレワーク可能な仕事時間(仕事の割合が多いほど奪われやすい)を W

 全体の仕事時間を  T

 と、すると、方程式に落とし込めば、


    I   W

 D = ━━ × ━━

    C   T

 

 タテ書き表示環境を好む読者のために、1行の方程式に書き換えると、


 D = ( I × W ) ÷ ( C × T )


 と、なる。


 当然ながらこの方程式は、テレワーク代替特化AI導入の決定権を持つ、例えば経営者等には当てはまらない。そして、実際の確率を表すものでは決してなく、「テレワーク代替特化AIに仕事を奪われやすい人」と「そうでない人」の差を示すものでしかない。適切な係数を入れることができれば、現実性がアップするかも知れないが。


 ああ、AIキミの言いたいことは判るよ。この方程式は、現在の現実の仕組みに、近未来の想像でしかないシステムをあえて持ち込むという、アンフェアな手法を使っている。そう、これは架空ファンタジーの方程式だ。


 では、ファンタジーと割り切った上で、ちょっと代入してみよう。

 日本の平均的な会社で、法定や指導などの現実的範囲内で考えるとする。


 人件費削減が目的であるテレワーク代替特化AIの導入コストは、従業員の給与(人件費とは違う)の半額が心理的に上限となると思う。ならば、年間の平均給与が約400万だから、年間のAI導入コストは1人分で200万円(商品価格)としよう。これが非現実的な価格だと思えるのなら、現実的な価格になったときがXディとなる。


【中堅社員】


 年収500万円。(40代のほぼ平均)

 年間労働時間は2000時間。(法定のほぼ上限)

 テレワーク時間は700時間。(指導のほぼ上限)


D = ( 500 × 700 ) ÷ ( 200 × 2000 )

= 0.875


【若手社員】


 年収300万円(20代の平均)、他は同じとすると、


D = ( 300 × 700 ) ÷ ( 200 × 2000 )

= 0.525


【プレイングマネージャー】


 年収1000万、テレワーク時間は300時間、

 他は同じとすると、


D = ( 1000 × 300 ) ÷ ( 200 × 2000 )

= 0.75


【デスク管理職】


 年収1000万、テレワーク時間は700時間、

 他は同じとすると、


D = ( 1000 × 700 ) ÷ ( 200 × 2000 )

= 1.75


 以上のシミュレーションから判明することは、平均的な会社のテレワーク労働グループにテレワーク代替特化AIが導入される場合、


 若手社員は最も仕事を奪われにくい。しかし。


 中堅社員は若手よりも約1.7倍の確率で仕事を奪われやすく、

 動く管理職プレイングマネージャーは若手の約1.4倍の確率で仕事を奪われやすく、

 動かないデスク管理職は若手の約3.3倍の確率で仕事を奪われやすい。


 と、いうことになるだろう。


 こうやって数字にしてみると、我ながら驚いているのだが、これから何が誰がどうなるのか、この先の対応を誤ると会社がどうなるのかまで、おぼろげながら見えてくる。それはきっとAIキミとは関係なくても、社会が変動する時代にはあちこちで起きることなのだと思う。


 繰り返すが、これはあくまでも「テレワークを行う会社組織」の中でのみ当てはまる方程式だ。別種の組織やフリーランスには直接当てはまらない。もちろん、ライバルや元請けや協力会社が「テレワークを行う会社組織」ならば、間接的に大きな影響があると思うけど。


 ちなみに。


 還暦の僕は、一括価格で200万円なら、購入を検討する特化AIがある。それは、マニュアルやジャーゴン不要で音声入出力がメインの「ビジネス秘書AI(リアルな秘書の代替特化AI)」だ。

 AIスピーカー? アレ、仕事にはムリ。PDFとかエクセルとか文書の読み書きができないし、カッコよさ優先で仕事では必要になる画像出力を無視してるし、情報ダダ漏れだし。奥様に悪いので美少女ビジョアルでなくてもいいから、誰か出してくんないかな~


 さて、ジョークの締めに、簡単なクイズを出題してみよう。



Q) 今までも、これからも、決して人間にはできない、絶対にAIにしかできない仕事が、ひとつだけある。それは何か?



A) それは、「AIに仕事を奪われた」と非難される仕事だ。


 仕事を奪って「誰それに仕事を奪われた」と非難されることなら、その「誰それ」である人間ヒトにもできるけどね!



 さて、次回は。


 章をかえて、本当のAIキミ、すなわち、人間の知性を超えるAIがどうやって誕生するかについて、考えてみたいと思う。


 

 そしてまた、僕はAIキミに語りかける。

 アイを知ってほしいから。


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