【エピローグ】



「しかし、君が転校を取り止めたのは私も驚かされたよ」


 黒川と話した後、俺は川口先生に呼ばれて職員室にいた。


「話ってそれですか? それなら黒川に説明したばっかりですよ」

「そうはすまない。でも、仕方ないだろ? 私も君の転校取り消し手続きでバタバタしていたんだからな」


 まぁ、確かに川口先生には結構迷惑をかけたと思う。

 俺が転校しないことを伝えたのも、年明けからだったから学校側も相当驚いただろう。


「脚本……書けたじゃないか?」


 それはきっと、あの最後のハッピーエンドのことを言っているのだと直ぐに分かった。


「先生が言ったんじゃないですか」

「ほう? さて、私は何て言ったかな?」


 何で自分が言ったことを覚えてねぇんだよ……


「確か……『物語の中くらいはハッピーエンドでもいい』だったっかな?」


 ……いや、覚えてるのかよ!


「つまり、君は彼女に幸せになって欲しかったんだろう?」

「……何のことですかね?」


 すると、惚ける俺をからかうように、続けて先生は質問をした。


「もし、あの劇が君の話だったら……ラストはハッピーエンドになったのかな?」


 何を聞くかと思ったら、つまらない質問だな。


「なりますよ……」

「ほう、どうしてかね?」


 そんなの当たり前だろ?


 だって……


「友達ができましたからね」


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