第2話

 いつもの、巡回路。街の灯り。ネオン。人通り。笑顔。

 今日も、街は平和だった。

 学校に通いながら、街を守る正義の味方をしている。頭も良くないし体力があるわけでもない。ただ、他のひとが見えないものを、ときどき見通せるだけ。ちょっとした未来予測とバタフライエフェクト。それだけ。


 通信。


『よお。監視カメラから見来くんに連絡です』


「はい。なんでしょう」


『きみの恋人が全力で街の大通りを突っ走ってるよ』


「はあ」


 彼女。夜中に走るなんて、めずらしいな。


『行ってあげたら?』


「巡回が終わったら位置を教えてください」


『ドライだね』


「彼女のことは、分かっているつもりですから」


 今、彼女は。

 心の中にある熱いものを、必死で冷やそうとしている。自分に会うことで、その熱さをあふれさせてはいけない。

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