第4話  移動

 ま〰〰〰〰ったくけったくそ悪いって言うのっ!!


 でも何なのだろう。

 う~ん気になる……そう気にならないっちゃ嘘だよねぇ。

 あのめっちゃ歯切れの悪い物言いと素知らぬふりに徹した母様の態度。


 あ゛あ゛〰〰〰〰こう、うんなんか、そうムシャクシャするんだよね。

 抑々そもそも私の性格はイエスかノーかのどちらかなのよっ。

 中途半端は一番嫌いなんだけれど、れでもだからと言って結構食べ物に関しては悩んじゃう!?

 優柔不断ってやつ?

 だから、そう兄様の事を言えないんだけれどさ。


「……、……様。姫様っっ!!」

「な、何々トリシャ⁉」


 耳元でめっちゃ大きな声で呼ばれたら、耳がめっちゃ痛いんですけれどっっ!!

 第一鼓膜が破れたらどーすんのよ……と私は怒鳴られた方の、未だに少しキンキンする耳へ手を当てつつ仏頂面で彼女を見る。

 うんにゃ、睨んでやったわっ。


 そしたら反対に睨まれた――――っっ!?


 私、一応私あなたのご主人なんですが〰〰〰〰っっ!!


 と言ってもさ、人に使われる事があっても患者さんとDr、あと上司ね使った事なんて経験がないから侍女とは言っても魂の年齢的にも近いし、侍女兼悪友兼何気にこき使われている様な感じ……ですかね。


 はあぁぁぁぁ、今から何を言われるんだろう。

 こちとら朝から機嫌の悪い事この上ないのに、今度はトリシャの御説教かぁ。

 ほんと、今日はついてないかも……。


「んで、何? 何か私悪い事でもした?」


 もう何かわからないけれど取りあえず謝りモードで……でも、何も分からずに誤ったって相手にはきっと何も伝わんないからぶっちゃけこれは余り効果はないだろう。

 と言うより今日はもうなーんか色々と面倒くさいんだけど。


 でも、そんな私の事なんてトリシャは何も考えていない……より彼女は至極真面目に現実問題を口にした。


「申し訳御座いませんが?」


 私も少々疲れたのですが……とオマケとばかりにトリシャの嫌味が一つ。


 私はそこで初めて立ち止まれば周りを見回す。

 そこで気づけばここは普段余り立ち入らない西の棟の上だった。


 然も??⁇


 食堂は南東にあるからってここから軽く約2kmは離れている??

 ええええええええええ――――っっ⁉


「何で? 何で私は西の棟の最上階ここにいるのっ!?」

「それは貴女様がぶつぶつと愚痴を零しながら食堂を出られれば、何も考えられずにここまで歩いておられたからです」


 少しはつき従う者の身にもなって下さい……と文句を言うトリシャ。

 まあこれは私が悪いわ。

 何度となく声を掛けたらしいけれども、私が全然聞いていなくて仏頂面をしたままブツくさ文句を言って歩いていたらしい――――ってどんな姫なんだか……。


「あー、悪かったです。意味もなく連れ回して……」


 一応ここはちゃんと謝っておく。

 うん、これは完全に私が悪いんだから……。


「そうですね。ただもう少し感情をこめて仰って頂きたいものです。あと……言葉使いも-50点減点ですよ」


 くうぅぅぅぅ!!

 ああそうなのだ。

 昔っからトリシャは私がちょっとヘマなんて事をすれば意味不明なでおやつを減らして持ってくるんだよっ。


 そして私の好きなおやつでなかった時には晩ご飯の肉の量を減らすのだっ!!

 私が前世から引きずっているをだよっっ!!


 なんて悪魔なんだっ!!


 お肉教の信者である私はここぞとばかりにトリシャにお願いをするのである。


「――――減らすのはおやつにしてよね、お肉は嫌だからね」

「さぁ、それはどうでしょうか。そこは今日のお仕事の頑張り次第ではないでしょうか」


 ここ一番の笑顔で言うな、笑顔でっ!!

 ほんと鬼トリシャさんだよっっ。


 そして私は深く嘆息すると共にその辺にある扉へ手を軽く触れて呪文を唱える。


扉よ、我が意思する場所へ開けオープン・ザ・ドア


 かちゃ。


「遅いよフェティー、もう待ち草臥くたびれちゃったよぉ」


 何故かこれから私の仕事をする机の上であいつはちょこんと座って文句を言う。

 ほんと、朝から全くついていない。

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