第17話 バイオレットの紐パンですが脈ありでしょうか?(3)


紫陽花「じゃあ、......せめて手だけでも繋いでて」


言ったぞ!私は、言ってやったぞ!

もうこの時には、やつの恐怖より羞恥心の方が凌駕していた。


蓮華「......いいけど、寝る時だけでいいか?」


紫陽花「うん!大丈夫!」



そして、今に至る。

私は、蓮華と手を布団の外に出して繋ぎ寝ている。いや、寝れない。

もう、この時にはやつのことなんて、頭の中に入っていない。

というか、さっきまでゲームしてて忘れてたのに、ご飯の時の蓮華の言葉がサブリミナルのように脳内に響き渡る。

こいつ、なんで平気そうにあんなこと言えるのよ!こっちの気も知らないで!

コロンと寝返りをうち、右の蓮華の方を見る。

すやすやと寝ている。

まぁもう深夜2時だし、すぐ寝ちゃうよね。

次に、繋いだ手を見る。

なんかこうやって見ると、余計に恥ずかしい。

でも、あいつも寝てることだし少しイタズラしようかな。

繋いだ手を、もぞもぞと動かし恋人繋ぎに変える。

なにこれ、すっごい恥ずかしいんだけど。

世のリア充という怪物達は、こんな事を公衆の面前で恥ずかし気もなくやっているのか。

リア充、恐るべし。

再びもぞもぞと手を動かし、元に戻した。

起きてない、まだやれる。

握った手を動かさないように、そっと布団から身体を出す。

さっきは、よくもイタズラしてくれたな!

最初に仕掛けたのは、多分楓ちゃんだろうけど、その後に仕掛けたお前も許さんぞ!

しかし、何をしよう?

流石に手を離したら、起きちゃうよね。

手の届く範囲で、何かないかな?

何もないなぁ。

仕方ない、耳に息を吹きかける程度にしてやるか。私は、蓮華の耳元に近づく。

私の唇が、蓮華の体温を感じ取れるほどの距離まで来た所で止まる。こんなに近くで蓮華の顔を見るなんて初めて。

唇を尖らせ、口の中に空気を溜める。

そして、蓮華の耳を目掛けて吹きかけた。


蓮華「ひゃう!?」


蓮華が、聞いた事もない可愛い声を出した。

何なの今の声!めっちゃ面白い!

でも、流石に起きちゃったか?

しばらくそっとしていると、またすやすやと眠りに入った。ここまでして、起きないのか。

なら、キスとかできるかも。

いやいや!何考えてんの私!

でも、今ならやれるかもしれない。

ふと、蓮華の顔を見る。

蓮華の唇から目が離せなくなっていた。

私は、吸い寄せられるように蓮華の顔に近づいていく。

さっきより顔に近づいた所で再び止まる。

蓮華の寝息が私の顔に触れる。


紫陽花「はぁ......はぁ......」


やっぱ無理!!

直前で顔を離す。緊張で身体中が、汗でびしょびしょになってしまった。


紫陽花「はぁ......馬鹿な事してないでさっさと寝よう」


私は、布団に入った。

目を閉じると、蓮華の顔が瞼に浮かぶ。

やらかした、こんなんじゃ寝つけないよ!

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