第24話、闇を切り裂く剣撃

俺は闇に潜った。

どうする。

公になればミシティーへの締め付けは、更に厳しくなるだろう。


ならば…

ガンダルカン帝国の皇帝を倒せばいい。

俺はマリアの姿のままガンダルカン帝国城に向かって飛んだ。




一方、こちらはミシティー城。


「モウジュ様、いかがなさいますか」


「死体は埋めてしまえ。

ボンクラの変わりはわしが務める」


「そ、それはいくらモウジュ様でも…」


「まあ、見ておれ、マリアに教わったとっておきの術じゃ」


モウジュは体内時計を戻した。


「どうじゃ、血筋的には近い故、遠目にはわからんじゃろう」


「そうすると、モウジュ様の方は体調が優れず臥せっておられるとでも…」


「おお、老いぼれじゃからそれで良いぞ」


「しかし、そのような事ができるとは…」


「飛行術といい、収納といい、まったくマリアには驚かされるわい」


「収納は、いまだに違和感がありますが」


「わしもそうじゃったよ。

じゃが、じきに慣れるさ」


「飛行に収納に全属性習得。

わが魔法師団は全世界でも最強といえるのではないでしょうか」


「ああ、だからこそマリアだけは何としても助けるぞ」


「承知いたしました」




シンジは闇に潜ったまま、ガンダルカン城を探っていた。

ふいに”ザン”と切り付けられた。

咄嗟に地下へ逃れる。


「ネズミか…」


皇帝ジャン・ガンダルカンその人である。


「まさか、闇を切り裂く能力があるとは思いませんでした…

うん?地下牢ですか」


「だ、だれか…いるのか…」


鎖につながれた老人が一人。


「なぜ、囚われているのですか?」


「わしは、皇帝じゃ…」


そういって老人は意識を失った。


「皇帝?…どういうこと?」


老人の鎖を外し、闇の中に連れ込んだ俺は、考えた挙句にミシティー城へ向かった。



「モウジュ様ですか?」


「マリアか、安心しろ追手はかかっていない」


「王子に似ていらっしゃるのですね」


「ああ、皇帝の母方の血筋じゃからな。

うん?誰だそいつは」


「本人は皇帝だと言って意識を失いました。

城の地下牢に幽閉されていたようです」


「なに…うーん、確かにジャンのようにも見えるが…」


「とにかく、静養させて本人の口から聞かなければと思い、ここに連れてきました」


「ああ、誰かに面倒を見させよう」


「もし、皇帝本人だとすると…」


「不審な点は多かったのじゃ。

妃もおらんのに、突然子供を3人も連れてくるし、ミシティー攻撃にしても、元々は王同士仲は良かったのじゃ。

それが、ある日突然ミシティー攻撃を指示しおった…」


「すると、今の皇帝は偽物だと…」


「そう考えると合点がいくということじゃ」

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