第23話、決裂

強ジュラルミンの比率はアルミ94%、銅4.5%、マグネシウム1.5%だ。

土魔法で原料を抽出して混ぜる。

あとは成型するだけだ。


本当は、母さんたちにはしばらく言わないでおきたかったが、条件には恭順する記述と母さんの署名が必要だから仕方ない。


「実は、第三王子のダランに接触することができたんだ」


「だ、大丈夫なんですか!」


「僕…というかマリアの身元は、モウジュさんが迷い人だと保障してくれてる。

それで、特殊な金属で作った盾50と引き換えに、ミシティーの残党狩りをやめるよう要望してみた」


「それで…」


「帝国に恭順するという、ミシティー王族の署名が条件だと言われた」


「恭順ですか。

私はかまいませんが、二人の意見は?」


「王女様がそう決められるのであれば異議はございません」


「そうですね。

今更挙兵しても、かないっこありませんし…

第一、身動きすらとれないんですから」


「そうなれば、いずれはミシティーの自治区のようなエリアを作って、みんなで暮すことも可能だと思うんだ。

モウジュのように、力になってくれる人もいるしね」


「懸念されるのは、相手がその約定を守るかどうかですね…」


「そこは、様子を見て判断することになると思うけど」


「では、向こうとの交渉はジャスミンに任せるとして、私の署名入りで書面を作りましょう」




「第三王女ジェシカ・クールカン、まだ生きていたのだな」


「そちらの約定書をいただきましょうか」


「くっくっくっ、そんなものを渡すと思っていたのか」


「まさか…」


「この書面があれば、父もこの俺を認めてくれるだろう。

モウジュ、この娘を捕らえよ」


「王子…」


バシュッ!


収納から取り出した剣で王子の首をはねる。

そして書面を回収しながらモウジュに声をかける。


「できれば、あなたとは戦いたくありません」


「何も言うな、何とかするから行け!」


「感謝します」


その場で闇に潜り、家へ帰ります。

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