第21話、ライアとライラ

冒険者ギルドでキラークラブを解体してもらい、ライラを伴ってギルドを出る。


一旦闇に潜り、離れた場所から空を飛ぶ。


「大騒ぎはしなかったろうな」


「えっ…」


「マリアの言う通り、危機感に欠けているようだな」


「久しぶりにライアに会えるのよ。しょうがないじゃない」


「それが、ライアの身の危険につながるとは考えられないのか」


「ライアに会ったら、家に帰るように説得するわ」


「ライアが、王妃や仲間を見捨てて帰ると、本気で思っているのか」


「当然でしょ。家族と暮らしたいっていうわよ」


家から離れた場所で闇に潜り、ライラには場所が分からないように細工する。


「ただいま」


直接家の中に出て声をかける。


「お帰り…、ライラ」


「ライア、会いたかった」


パシッ!


ライアの平手打ちがとんだ。


「聞いたわ。お父さんとお母さんを危険な目にあわせたそうね」


「だって…」


「少しは成長してるんじゃないかと期待した私がバカだったわ」


「もう、家に帰ろうよ。お父さんもお母さんも心配してるよ」


「私は帰らない。王妃様とジャス…シンジ様と仲間と共に生きていくわ」


「もう、ミシティーなんてないんだから…」


「国がどうこうっていうのは関係ないわ。私は王妃様に忠誠を誓っているし、それは何が変わろうと揺るがない」


「そんなのって…」


「それに、もし帰ったとしても、私はマークされているからすぐに捕まるわ。それくらいの事が分からないの」


「そんなの帰ってみないと分からないじゃない。そうだ、私が王族に直訴してあげるから」


「そんなことしてみなさい。また家族全員が捕まるだけよ」


「ライアが犠牲になって帰れないなんておかしいじゃない」


「犠牲じゃないわ。家族よりも大切な仲間なの」


「王妃様、何とか言ってください。ライアは…」


パシィッ!


「シンジ様、連れて帰ってください。

これ以上話すことはありません」


「分かった」


ライラを眠らせて連れ帰る。

ギルドの前でライラと別れて闇に潜る。


帰宅するライラの後をつけて家は確認した。


翌日、ライラが出かけたのを確認して両親を訪ねる。


「そうですか、ライアは元気なんですね」


「ええ、おそらく王妃の息子と結ばれると思います


「王妃に息子さんが!」


「ええ、ただ今のところ国を興す気はないようですから、ただの冒険者ですけど」


「私どもの事は心配せず、元気で暮らすよう伝えてください」


「はい。承知しました」


自分がその息子だとは打ち明けられない。

いつか、子供でもできたら、一緒に会いに来よう。

俺は両親の家を辞した。


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