第20話、サメとカニとタヌキ討伐

翌日、朝早くからギルドに顔を出す。


「おはようございます。

ライラさんは来ていませんか?」


「今日も見ていませんね」


「そうですか。じゃあAランクの依頼受けますよ」


「ありがとうございます。

昨日、ギルマスが嬉しそうに選んでいました。

この3件をお願いしてくれって」


「えっと、タイコタヌキの騒音苦情…」


「ええ、夜になると腹鼓を打って、結構広範囲から苦情が出てるんですよ。

近づくと腹鼓の振動波でダメージを受けるので、遠隔系の攻撃でしか倒せないんです」


「それと、キラークラブ…」


「こいつは、鋭いハサミを持っていて、漁師の仕掛けた網を切ってしまうんです。

これは熱に弱いんですが、何分水中なので手を焼いているんです。

ただ、身がおいしいので、買取価格は高額になりますよ」


「最後にフライングシャークですか」


「飛んでくるサメです。一度の滑空で10mも飛ぶんですよ。

小さな漁船は沈められてしまいますので、討伐が難しいんです。

漁師ギルドに連絡して、大型船を手配してもらうことになっています」


「漁師ギルドの応援は必要ありませんよ。

じゃあ、この3件行ってきます」


「よろしくお願いします」



優先度から考えるとフライングシャークだな。

だいたいの出没エリアは分かったから、ダミーの舟を木から削りだして風魔法でそのエリアを走り回る。

20分ほどで出てきた。いきなり飛び上がって攻撃してきたので、氷槍アイスランスを口にぶち込んでやる。

だが、かみ砕かれてしまった。

俺は風魔法で飛び上がり、フライングシャークの攻撃を回避するが、舟は一撃で壊れてしまった。

サメの奴は、空中の俺めがけて飛び上がってくる。

俺はフローズンでシャークを氷漬けにしてそのまま収納する。


次はキラークラブだ。

5mほどの海底にいるのだが、2mほどの真っ赤なカニなので海上から丸見えだ。

これも、海水ごと円柱状に凍り付かせる。

3匹捕獲できたので一匹は家にお土産で持ち帰ろう。

家族の喜ぶ顔が目に浮かぶ。


タイコタヌキは巣がわかっているので、簡単だ。

アイスランスで簡単に仕留めてやる。

子連れだったが仕方ない。


3件の依頼を終えてギルドに戻ると、ライラが捕まっていた。


「誰よあんた」


「マリアに頼まれてきた」


「…」


「両親は無事なのか?」


「大丈夫よ」


「ライアのところに連れて行ってやる」


「ホント!」


ギルドで獲物を収納から出して完了のチェックをしてもらう。

カニとサメは氷漬けのままだ。


「まだ生きていると思うので、解凍する時は注意してくださいね」


一匹のカニは、さばいてもらう。

その間にライラは両親に外泊のことを伝えに、一度帰ってもらった。

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