第16話、魔法問答

「障壁の破り方を教えたとなぜ分かる」


「簡単です。無詠唱で飛ばせるのに、指で撃つ仕草を見せたからですわ」


「面白い女性じゃな。で、次の魔法はなんじゃ」


「そうですね。収納の魔法はご存じですか?」


「収納じゃと?」


「ええ、これです」


手に刀を出して見せる。


「ほお。どうやった」


「女の場合は女性器に収めるイメージです。

ですが、慣れればこのように大きなものも取り込めます」


「じゃが、男の場合は…、尻の穴か!」


「いきなり刀は無理でしょうから、この暗器でいかがですか」


「お、おう」


「最初は収納と声に出した方がいいですよ」


「おう、『収納!』

で、できたが、尻の穴に違和感があるぞ…」


「気のせいですよ。手の中に取り出すイメージで出します」


「おお、出た!尻の違和感もなくなったぞ!」


「ですから、気のせいですって。

これを繰り返せば、大きなものも収納できるようになります」


「ちょっと待て、この刀でやってみる…

おお、無詠唱でできたぞ。尻の違和感もない」


「ただ、しまっておいて忘れるとどうなるか分かりません」


「そうだな、気を付けよう」


「ちょっと空気の入れ替えをしますね」


「おお、さっきの話を聞いておくとさっぱりした感じがするな」


「でしょ。さあ遮音しましたから、今度はそちらの番ですよ」


「うむ、そうじゃな。

さっきも言ったが、わしはミシティーの残党など興味はない。

じゃから、こちらの最新状況は提供できるし、魔法師団を協力させることも可能だ。

だがな、王子は皇帝の模造品のような考えを持っている。

王子が直接出向いたときは口出しできんぞ」


「それで十分です。

では、私の番ですね。モウジュ様はいくつ属性を使えますか?」


「わしは闇系と、補助系じゃな」


「闇というのは試したことはありませんが、私は全部の属性を意識せずに使えています」


「すべての属性じゃと!」


「ええ、ですから、単に思い込みの問題ではないかと思います。

試してみましょうか。私の真似をしてください

『ファイヤ!』」


指先に炎を灯します。


「『ファイヤ!』おお、意識しないで真似したらできたぞ」


『ウィンド!』


『ウィンド!』


『ウォーター!』


『ウォーター!』


「えっとあの鉢植えでいいですね『ピラー!』」


「『ピラー!』

なんという事だ。わしの70年は思い込みじゃったのかよ。

4属性すべて使えるとは…」

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