第8話、お仕事完了


「追加のお金は、お手数ですがギルドに届けてください。

オーク2頭はおまけでいいですから、数だけ5頭に訂正してください。

はい、ありがとうございます。

あっそうだ。ノコギリソウってロックバードの巣の近くに生えていますよね」


「ああ」


「じゃあ、行ってきまーす」


村から駆け出して、森に入り山の山頂を目指す。

ロックバードは翼長3mの巨大な鳥で卵は30cmもある。

なので先にノコギリソウを探すとすぐに見つかった。

根元の土毎3株掘り出してリュックに詰める。

ロックバードは抱卵中で、近づくと威嚇してきたためスリープで眠らせ、腹の下から卵を取り出す。


卵を布にくるんで首からぶら下げ飛び上がる。



「すみません。ロックバードの卵の依頼をだされた鳥類研究所はこちらでいいですか?」


「そ、そうだが、一昨日出した依頼なのにもう採ってきたのか!

それにまだ温かいじゃないか」


「ええ、抱いていればヒナが孵りますよ」


「しょ、所長!」


「なんだ、騒がしい…た、卵か!」


「ええ、さっきまで親が抱いていたので、もう少しで孵ると思います。

時々動きますし」


「いや、この時期に依頼を出せば無精卵が残っているかと思ったんだが、卵の殻でも可と書いてあっただろ?」


「あっ、忘れてました!」


「だが、有精卵ならロックバードに刷り込みがあるか確認することもできるな。

よし、私は部屋で抱卵に入る。

あっ、ノコギリソウが…」


「それも、依頼にありましたよね。

土毎持ってきましたから、鉢にでも植えてください」


「君は、ロックバードが孵ってすぐにノコギリソウを食べるって知っていたのか」


「ええ、エルフに聞いたことがありましたので、一連の依頼だろうなと思いました。

これに、確認のサインをいただけますか」


「おい、タカハタ君、卵に有精卵と書き加えて、ノコギリソウは土毎としておいてくれ。

依頼料は2倍にして、あとで届けておいてくれ」


「はい!」


「君、名前は?」


「シンジ・オオガミです」


「シンジ君か、今度依頼を出すときは、指名させてもらっていいかな」


「もちろんです!よろしくお願いします」




「ただいま~」


「あら、どうしたの?

一旦受けた依頼はキャンセルできないわよ」


「あっ、全部終わらせてきました」


「えっ、だって西の山脈…

ちょっと待って、なんでオーガになってるのよ。

オークだって5体以上はBランクの依頼よ。

えっ、ロックバードの有精卵って、ロックバードの親鳥を討伐しろって事よね。

Aランクの依頼よ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る