模索

私らしさ

私と智恵実ちゃんは下村中学校に入学式を終えた。智恵実は小さい街だから小学校からそのまま上がって変わり映えのしない仲間だからなんか新鮮味にかけるよね。

私はそうだね、制服を着て学校に通うけれど小学校の延長戦みたいな感じがするね。智恵実ちゃんは今でも小説を書いているの?

智恵実は書いているよ。花蓮ちゃん、よかったら私の書いた小説読んでくれないかな?書いてばかりで周りから評価されることがないからいいか悪いのか分からないからさ。

私はうん、いいよ。放課後智恵実ちゃんの家に行ってもいいかな?智恵実はもちろんだよ。読むの時間がかかると思うけどさ。

私は授業を受けている時も智恵実ちゃん、どんな小説を書いたのかと心を踊らせていた。そして帰りのチャイムが鳴り2人で一緒に帰った。

私は智恵実ちゃんの家に行くと部屋に案内された。

智恵実は花蓮ちゃん、お菓子とジュース持ってくるから適当にくつろいでいて。

私は智恵実ちゃんに言われたとおり本棚にある小説を読んでいた。こんな難しい小説を読んでいてこれなんて読むのか?ことわざや四字熟語が全然分からない。智恵実ちゃんスゴいなぁ〜と感心していた。その中で1冊の小説を読んでいると難しい漢字を使うので有名な作家だとウワサでは聞いていたがここまで難しいと話が全然進まない。これは単に私が漢字が読めないのが原因だが同じ中学生、それも仲のいい智恵実ちゃんが読んでいるとは……。

智恵実は花蓮ちゃんお待たせ〜、クッキー持ってきたよ。

私は小説を読む前に智恵実ちゃんに尋ねた。この小説、難しい漢字ばかり書いてあるけれど内容とか分かるの?

智恵実は答えた。もちろん読めない漢字とか沢山あるよ。でもね、その時はパパやママに聞いて読み方を教えてもらってから自分でインターネットで調べてノートに漢字と意味を書いているかな。そうするとこういう意味なんだと思って小説を読むと面白いよ。花蓮ちゃんもそういう風にしてやれば漢字の勉強と一石二鳥だよ。

その言葉を聞いて智恵実ちゃんスゴいなぁ〜。私も見習わないといけないな、同い年として尊敬します。

ちょっと花蓮ちゃん、恥ずかしいからやめてよ。

じゃあ小説読ませてもらってもいいかな?

智恵実はぜひぜひ読んで。パソコンに保存されている小説を読み始めた。私は小説に釘付けで智恵実ちゃんが持ってきてくれたクッキーとジュースのことをすっかり忘れていた。

気がつけば2時間が経ち、小説を読み終えると私は面白かった。なんだかキュンキュンするようなお話だね。幸せな気持ちになったよ。私も智恵実ちゃんの様に1つのことに没頭出来るもの見つかるといいな。

智恵実は見つかるといいね。私がよければいつでも話を聞くし付き合って欲しい時はいつでも付き合うからね。

私は智恵実ちゃん優しいね。このクッキー美味しい。なんかクセになるし何枚もたべたくなる。

智恵実は花蓮ちゃんにそう言ってもらえてよかった。昨日家に帰って作ってみたんだ。自分では美味しいかどうか分からなくて不安だからさ。

私は智恵実ちゃんって小説も書けるしクッキー作れるって女子力高いね。嫉妬を超えて戦意喪失したような気分だよ。どうしよう……。

智恵実は花蓮ちゃん、そんなこと言わないで。小説やクッキー作れるようになったのも始めから出来たわけじゃあないよ。そうだ、花蓮ちゃん一緒にクッキー焼かない?まだまだ材料があるからさ。

私は智恵実ちゃんに言われるがままキッチンに向かい智恵実に言われるように材料を分配した。

そして手取り足取り教えてもらいクッキーを作ってレンジで温めた。1枚食べてみると美味しい。これも智恵実ちゃんのおかげだね。

私は智恵実ちゃんありがとう。文才はないけれどお菓子作りやってみようかな。

智恵実はじゃあ私は小説、花蓮ちゃんはお菓子作りでそれぞれお互いに頑張ろうね。

中学校ではお互い違うことをすることに決めた。


自分探し

土曜日、私は1人で出かけることを決めた。水色のワンピースを見に纏い隣街にあるカフェを巡ろうと考えた。周遊バスに乗って駅に向かった。しかしバスに乗って駅に行ってもこの駅にはオシャレなカフェおろかスーパーやコンビニ、国道が通っており私が住む街に比べれば遥かに発展している。

私は電車に乗って那古野市の繁華街に向かった。土曜日の日中で人が多く、座ろうと思っていたが空いておらず最寄駅で降りた。始めての繁華街で同じ県内にいるがまるで他の県、いや異国の地なのかすら感じていた。

出かける前に幾つかピックアップしたお店を巡ろうとお店を探していた。まず1軒目のお店でショートケーキとカフェオレを飲んでお店の雰囲気を楽しつつ周りに何があるのか見て周っていた。

‎2軒目を探しつつ雑貨屋を見つけた。雑貨屋に入るとかわいい雑貨が多く特に何か買うわけでもなく色々見て手に取っていた。

雑貨屋を出てすぐ近くにオシャレでかわいい佇まいのカフェを見つけた。私は中学生だから携帯電話を持っていない。高校生なら携帯電話を持っていたはずだからこのかわいい建物を撮ることが出来るのか、早く3年後にならないかな。

私は1人でそう呟きながらお店に入った。すると外壁は水色で花の形をしたアイスやクマの形をしたパフェ等女の子なら誰しも目を引くようなメニューで何を頼もうかと悩んでいた。

そして振り向くと10人程並んでいて口では言わないが早く注文してくれよという雰囲気が漂っていた。その中で私は特に気に入ったクマのパフェを注文した。見た目だけで味がイマイチなのかなと一口食べた。美味しい、街に出かければこんな美味しい食べ物に巡り合えるのか、私も人を感動させるようなスイーツを作りたい。高校生になったら街の高校に行ってカフェでアルバイトしたいな。

そう考えて私は駅に向かった。カフェ巡りをしようと那古野市に来たのに2軒しか行けず気がつけば陽が沈み午後5時になっていた。電車に乗り帰宅ラッシュの時間と重なりまたしても私は座れず窓側のつり革を持っていた。1駅、そしてまた1駅と進んでいくと身動きが取れない程人が乗っていた。

するとワンピースの中に手が入り私のお尻が触れられている感触が分かった。私は咄嗟のことに言葉が出ず、早くこの人降りてくれないかな。それか私が先に降りるかどうしようか悩んでいた。

すると私が降りる予定の1駅前である声が聞こえた。同い年くらいか高校生くらいの男の子がワンピースの中にある腕を掴んだ。

「おい、お前なに痴漢しているんだ。降りろ」

私は次の駅だが1つ前の駅で降りて事情聴取をされた。自分のことだから話さなきゃいけないと分かっていたが言葉が出ない。涙を流すばかりで駅員さんにも申し訳ない気持ちでいると男の子が口を開いた。

彼女は窓側にいて鏡に映る姿を見て涙を流していて目線を下げると痴漢されていたので駅で降りてもらったという形を取りました。

男の子は涙を流している私に代弁して答え、ハンカチを渡してくれて涙を拭うように言ってくれて私は涙を拭いお礼を伝えた。

すると男の子は私に優しくしてくれてどこの駅で降りるのか尋ねられた。

私は次の駅で降りて周遊バスに乗り下村市っていうところに行くんですよ。この駅からも多分1時間くらいかかりますよ。

男の子はうんうん、そうだよね。実は俺もお姉ちゃんと同じ下村に行く途中だったんだ。そういえば名前聞いてなかったね。

私は微笑み、たしかにそうですね。七瀬花蓮、中学1年生です。お兄さんのお名前はなんていうんですか?

男の子は中道康夫(なかみちやすお)高校1年生だよ。よろしくね。呼び方は好きに呼んでね。

私は康夫君、今日は助けてもらいありがとうございます。助けてもらえなかったら声を上げられず泣き寝入りしていたと思います。

康夫は花蓮ちゃんってかわいい名前だね。また痴漢に合わないように一緒に帰ろう。迷惑かな?

私はとんでもない、とても心強いです。同じ街の人に出会えるなんて嬉しいです。ありがとうございます。よかったら今度どこか行きませんか?

康夫はそうだね、花蓮ちゃんから誘ってもらえるなんて嬉しい。また痴漢に遭ったらいけないから家まで送ってあげるよ。あの街、日が暮れると一気に街の灯りが消えるから危ないよね。

私は電車に乗っている時に康夫君と意気投合した。康夫さんって甘い物好きですか?

康雄は好きだよ。カフェに行ったりっていうよりコンビニで何か売っていたら買うとかそれくらいだけどね。

私は最近お菓子作りをしているのでささやかなお礼をしたいので今度作ってきて渡してもいいですか?

康夫は花蓮ちゃん、お菓子作れるって女子力高いね。その気持ち嬉しい、楽しみにしているね。そうなったら連絡先渡しておいた方がいいね。アドレスと電話番号書いて渡しておくからまた連絡して。

そして私の家まで康雄を送ってくれた。

私は痴漢に遭って悲しく辛い思いをしたが康雄さんが助けてくれて新たな出会いを感じた。


一目惚れ

私は智恵実ちゃんと学校に行く途中、かわいいカフェ、かわいい雑貨屋、痴漢されて康夫君に助けてもらったことを包み隠さず全て話した。

智恵実は色々あって大変だったね。花蓮ちゃん、その助けてもらった康雄君っていう人と付き合うの?

私はまだ1度しか会っていないし付き合うなんて、イケメンで優しいけれど素性が全部分かっている訳じゃあないから。でも今度助けてもらったお礼にお菓子作って渡そうかなって考えているよ。

智恵実はいいじゃん。花蓮ちゃんかわいいから助けてくれたと思うよ。きっと私が痴漢されていたら助けてもらえなかったと思うよ。

私は智恵実ちゃん、デートした方がいいと思う?

智恵実はお菓子をあげるだけなんてダメだよ。デートするべきだしそんないい男と付き合わないなんてもったいないよ。私も会ってみたいな。

私はデートして付き合うってことになったら智恵実ちゃんを紹介するね。そうなれるように頑張るね。

智恵実はいつでも相談乗るし、惚気話も聞かせて欲しいな、なんか私も街に出ていい男捕まえようかな?

私はそれはいいけれど痴漢にあわないように気をつけないと。痴漢されないと思っていてもいつなんどき自分がなるか分からないからさ。

‎2人で学校に行き終始私の話で盛り上がっていた。


デート

私はパソコンで康夫君に日曜日、近くの公園で待ち合わせをしようとメールした。そして何時がいいか尋ねた。

しばらくすると康夫君から午前10時に集合しようと返信がきた。私はクッキーに作りに取りかかりどのような味にしようか創意工夫していた。

まずクッキー作りに取りかかりどのような味が美味しいのか何種類か作り家族に振舞おうかなと考えた。チョコレートにコーティングしてもいいかも、色々と試してみた。

私は晩御飯が食べ終わった後にお父さんとお母さんにクッキーを食べてもらい感想を聞こうと考えた。

どれが美味しくてどれが美味しくないのかは自分がどうこうよりも他人が決めるものだ。

お父さんは塩バタークッキー、お母さんはチョコレートクッキーが美味しいと言われた。私はよし、じゃあ塩バタークッキーとチョコレートクッキーは作ろうと決めた。

約束の日まで残り2日、康夫君に喜んでもらいたい一心でネットでクッキー作りの参考にしていた。

私は塩バタークッキー、チョコレートクッキー、はちみつクッキーの3種類を焼いて少しでも女子力高いと思われたいと考えてラッピングにもこだわりたい。

当日、クッキーを焼いてラッピングをして白のワンピースを着て公園に向かった。気持ちが高揚していた私は予定時間より5分早く到着した。

この公園に来るのも久しぶりだな、しばらく周りを見渡していると「花蓮ちゃん〜、こっちだよ」

振り向くと康夫君がいてベンチに座って話そうと声をかけた。私は拙いですがクッキー焼いてきたので食べてくださいと差し出した。

すると康夫君はクッキーを食べて花蓮ちゃん、美味しいよ、ありがとう。また作って欲しいな。

そしてお互いのことを話していた。私はこの後何をするか全く決めておらずどうしようかと悩んでいた。

しばらく沈黙をしていると康夫君は花蓮ちゃん、どこか行きたいところある?俺は行きたいところがあるんだけどさ。

私は思いつかず康夫君の行きたいところでいいよ。

そして隣街にあるアミューズメントパークに行こうと誘ってくれた。確かにそこならボーリング、カラオケ、ダーツ等色々あるしいいかなと思っていた。

‎2人で公園を出てバスに乗り駅に向かった。康夫君は歩くペース、喋るペースを合わせてくれた。その姿に私は惹かれていた。

隣街のアミューズメントパークに着くともうお昼ご飯の時間になると私はお腹の虫が鳴り、恥ずかしさのあまり顔が赤くなった。

康雄は先にお昼ご飯食べようか。この近くだとカフェとイタリアン、ファストフードがあるけれど何が食べたい?

私はお腹がへっていて食べられるならなんでもいいと思ったがここは女の子らしく"イタリアン"と答えた。

‎2人でイタリアンのお店に入るとオシャレで私は思わずかわいいお店。康夫君ありがとう。

康雄はペペロンチーノ、私はたらこパスタをそれぞれ注文した。待っている間に友達の智恵実ちゃんが康夫君に会いたがっていたことを話していた。私たちのもとにパスタが届くと康夫君は何も言わずに自分のパスタをおすそ分けして渡してくれた。

私はカッコよくて優しい、まるで王子様みたいだ。小学生の時に小説でこんな話を作ったな。ふとそんなことを思い出した。

パスタを食べて歩いてアミューズメントパークに向かいった。カラオケやボーリングを楽しみ歩いているとプリクラを見つけた。

私はこのプリクラかわいい、この機械で撮ろうよと康夫君に声をかけた。

‎2ショットを撮ると康夫君はプリクラってこんなに変わるのか、まるで別人のようだね。花蓮ちゃんはプリクラで撮ってもかわいいね。

私はニコッとありがとう、康夫君も目がぱっちりでかわいい。もっと加工しよう。プリクラって撮るのも楽しいけれど加工するのが楽しいよ。2ショットを撮り、プリクラを印刷をすると外はもう陽が暮れていた。私はもっと康夫君と一緒にいたいな、同じように思っているのかな?不安で仕方なかった。

康夫は話があると集合した公園に行こうと言われてついて行くと花蓮ちゃん、話があると切り出した。

そして私は悟った。これは告白されるな、なんで言って告白されるのかドキドキしていた。

「初めて見た時からかわいい女の子だなと思いました。僕と付き合ってください」

私は康夫君の差し出された手を握り一言、こちらこそお願いしますと伝えた。人生初の彼氏は少し歳の離れ、一緒に学校に行くということはないがとても頼り甲斐のあるステキな人だなと感じていた。


智恵実ちゃんに紹介

私は学校に行く途中、智恵実ちゃんに康夫君とのデートをして楽しかったと伝えた。学校帰りウチにおいでよ、一緒にプリクラ撮った写真もあるから見に来て。おもてなしするからさ。

智恵実は花蓮ちゃんありがとう。じゃあお言葉に甘えてお邪魔させてもらおうかな。

放課後、私は智恵実ちゃんを家に上げて部屋に案内をした。台所に行って昨日作りすぎた余りのクッキーとジュースを部屋に持っていった。

智恵実ちゃんはこのクッキー美味しい。さすが花蓮ちゃんだね。いつか紹介してもらえると嬉しいな。

私はじゃあ今日にする?康夫君の予定が空いているなら今日合わせてあげるよ。部屋にあるパソコンで康夫君に紹介したい人がいるかは会えないかとメールを送った。

智恵実はなんて?さすがに今日は厳しいよね。

私は智恵実ちゃん、今日何時まで大丈夫?午後5時に近くの公園に来てって言われたけれどどうかな?

智恵実は是非とも一緒に行くよ。お邪魔にならないようにするねと軽く遇った。

時間になるまで2人で喋っていた。智恵実ちゃんは優しくて痴漢を助けてくれてってまるで私たちが小学生の時に書いた小説のような感じだね。

私はやっぱり智恵実ちゃんも思った?智恵実はやっぱりってことは花蓮ちゃんも思った?以心伝心だね。クッキー美味しかったけれど康夫君なんて?

私は美味しいって言って食べてくれたよ。一生懸命作ったから喜んでもらえて嬉しかったよ。

私はパソコンのメールを見ると後10分ぐらいで公園に着くよと来てひとまず了解と返信し、智恵実ちゃんに公園に行くよと声をかけた。

私と智恵実ちゃんはベンチで待っていると康夫君が来た。すると康夫君と智恵実ちゃんは驚いた顔をして固まっていた。

康雄は智恵実ちゃんってあの智恵実ちゃんだよね?花蓮ちゃんが紹介したい人って智恵実ちゃんだったのか。智恵実は康夫君っていうから誰かと思ったらまさかね〜。

私は親しげに話していて不思議だった。智恵実ちゃん、康夫君のこと知っているの?

智恵実は知っているもなにも従姉妹だよ。康夫君は昔から面倒見のいいお兄ちゃんで彼女が中々出来ないっていって私に相談してくるようなかわいいところもあってさ。それが花蓮ちゃんとはね……。

康雄はちょっと智恵実ちゃん、そんなことまで言わないでよ。

智恵実は彼氏が康夫君ってことが分かったし2人の邪魔したら悪いから私は先に帰るね。康夫君、花蓮ちゃんのことを大事にしてあげないとダメだよ。

私は智恵実ちゃんと康夫君が顔見知りだったって始めて知った。世間って自分が思っているよりも狭いものだね。私たち2人にさせたけれどどうする?

康雄は私の顎を持ち上げて唇にキスをした。数年前、ドラマで流行ったアゴクイ。今まで他人事だと思っていたがまさか自分がアゴクイをして貰える日が来るなんて思いもしなかった。

私は愚痴や世間話等を話すと康夫君はうんうんと頷いて話を聞いてくれていた。こんな幸せがずっと続いて欲しいそう願っていた。


楽しいはずだったのに

私は康夫君と付き合うことになり智恵実ちゃんと遊ぶことが減ってきた。何だか悪いなと思いつつもデートが楽しくて仕方がない。私も恋をしている1人の女の子なんだ。康夫君が好きで恋をしているがそれ以上に恋に恋をしているように感じていた。

智恵実は花蓮ちゃん、最近デートでどう?

私はデート楽しいよ。でもね、最近智恵実ちゃんと遊ぶことが減って男に現(うつつ)を抜かして遊ぶことが減ってどう思われているのかなって思っているよ。

智恵実はそれって私が花蓮ちゃんに嫉妬しているって思われているってことかな?確かに2人が付き合うようになって花蓮ちゃんと遊ぶことが少なくなったけれど登下校ではいつも一緒に行ってくれているじゃん。

私は智恵実ちゃん、彼氏出来たけれど嫌いにならないでね。

智恵実は花蓮ちゃんは大袈裟だな。そんなことで嫌いになっていたら好きな人が出来る度に嫌いになることになるじゃん。そんなことしていたら私の方が気がもたないよ。

私はそっか、ありがとう。何かあったら相談するね。智恵実はいつでも相談してきてね。

私は智恵実ちゃんありがとう。頼りになるよ。

この時1つ気がかりなことがあった。それは前まで毎日のようにメールのやり取りをしていた。中学生の私は携帯ではなくパソコンだが最近は音沙汰無しで心配で仕方なかった。

病気なのか?忙しいから?それとも私に言えない何か。もしかして浮気……?何であれ理由が知りたい。もう好きじゃなくなったのかな……。頭の中が堂々巡りをするばかりで答えが出ない。

‎よし、こうなったらもう寝ようとベッドに入ったが全く寝られない。明日1時間目から漢字の小テストあるのに。とりあえず寝ることにした。

‎翌日、漢字の小テストを受けると見事に全問不正解だった。昨日勉強して今朝も勉強したのに康夫君のことばかり考えていて全く手につかなかった。これだと勉強にも手につかず、恋愛にも手につかずという最悪のパターンではないかと考えた。

私は放課後、家に帰って康夫君に会いたいとメールを送った。1日、2日経ってもパソコンに新しいメールは受信されない。3日後、康夫君からのメールが返ってきてテストがあって連絡出来なかった。

私はテストなら仕方ないね。またデートしようと返信すると2人でまた思い出を作ろう。ひとまずメールが返ってきてデートが出来る。その事に1人で舞い上がっていた。それがホントならば……。

次のデート、会える日はいつなのか。まず会う日を決めて私のことをどう思っているのか確かめなければ先に進めない。康夫君に明日の夜、少しでいいから話があるからいつもの公園に来て欲しいとメールした。

しばらくすると土曜日午前9時に公園に集まってデートしよう。心配をかけてゴメンね。私はデートが出来るならばいいかなと思っていたが蟠りがとれた訳では無い。

智恵実ちゃんの読んだ漫画で制服デートをしているカップルの話があり、中学生だが制服デートに憧れを抱いていた。なので康夫君に次の土曜日は制服で着てきて欲しいとメールをした。

土曜日、私は制服を着ていつもはポニーテールにするがこの日は敢えて結ばずストレートヘアで家を出た。

公園に行くと既に康夫君が待っていた。花蓮ちゃんと声をかけてベンチに座った。

康夫君中々連絡返せなくてゴメンね。

私はホントだよ、どれだけ心配していたか康夫君には分からないよね。病気なのか、忙しいのか。返せなかった理由がどうしても知りたくてさ。こんなこと聞くのイヤだけど私のこと嫌いになっちゃったのかってことすら考えていたんだよ。私は康夫君に自分が思っていた気持ちを全部伝えるとスッキリした。康夫君は私をギュッと抱きしめた。「花蓮ちゃんに心配をさせるようなことをしてゴメンね」

その言葉に私は康夫君に必要とされている、これ以上疑うようなことはやめよう。今日は制服デートを楽しもうと切り替えることにした。

いつもならばバスに乗って隣街に行ってそこから電車に乗るというのが一般的だがせっかくの制服デートなら違うところに行きたい。私は提案をした。

康夫君は知らないところに行くのも面白い、色々と巡るのも楽しそうだね。

私はバスに乗って街並みを眺めていた。

初めて見るような感じがスゴく新鮮で窓から見ていると次のバス停で降りなければバスの料金が二重に取られることになるため上村口前で降りた。

こんなに長く周遊バスに乗ったの初めてだな。やっぱり寂れた街だけあってバス停の間隔が長いね。

私はこのバス停に降りたはいいけど何があるのかさっぱり分からず慌てふためいていた。すると康夫君がこの辺りに隠れ家のカフェがあるみたいだからとりあえずそこに行ってみる?

私はカフェが好きだから嬉しい。何を食べよう、何を飲もうか妄想するだけで楽しくて仕方がない。ルンルン気分で歩いていたら何でもない所で転んだ。

康夫君は花蓮ちゃん大丈夫?とりあえず絆創膏貼った方がいいと少し出ていた血を止めて絆創膏を貼った。

私は康夫君ありがとう。おっちょこちょいで気持ちが昂(たかぶ)るとこうなることがあってさ。全然学んでないねと微笑んだ。

康夫は花蓮ちゃんかわいい所あるね。お店を探しているとレトロなカフェが目の前に現れた。

私はこのカフェかわいい。康夫君お店を撮って私に送って欲しい。お店で頼むものと一緒に送って。

康夫はうん、分かったとお店に入りホットコーヒーとホットドッグ、抹茶ラテと塩バタークッキーを注文をして待っている間喋って待っていた。しばらくして注文したものが運ばれてきてこのクッキー美味しい、康夫君も一口食べてみなよと渡した。

康夫は美味しいけれど俺は花蓮ちゃんが作ってくれたクッキーの方が美味しかったな。それを聞いて私は嬉しくて恥ずかしい気持ちになった。

カフェでゆっくりした後、近くのカラオケで日が暮れるまで2人で歌い続けた。私はこの時には康夫君が連絡が来なかったことに対して拗ねていた事を忘れて只管ラブソングを歌っていた。

外を見ると真っ暗になっていて康夫君は私の手を繋いでそのままバス停に向かった。周遊バスで1つだが周りは誰も歩いていない程閑散としていて康夫君は大胆なことにバスの中で私にキスをした。

私はいきなりで驚きつつも大胆だなと思いバスを降りて康夫君の家にいくことになった。なんか今日スゴく積極的だな、この後は一体どうなるのか。

康夫君は彼女だと紹介されて一緒に晩御飯を食べて康夫君の部屋に入った。そして中学1年生にして眠れない夜を過ごし大人の階段を1歩歩んだ。

翌日、私はあのクッキーの味を再現したいと考えて家に帰って奮闘していた。お菓子もクッキーも甘いに越したことはないと自分に言い聞かせた。

だが私の思い描いていた日々は長くは続かなかった。ある日カフェ巡りをしていた私は痴漢には細心の注意を払いつつ家に帰ろうとしていたら康夫君は制服を着た女の子にキスをしていた。

何か見てはいけないものを見たような感じになり走って家に帰った。私は康夫君にメールで公園での出来事を問いつめると浮気を認めた。浮気されて悔しいし奪還しようかと考えたが浮気をするような男を許したら次もされると考えて一切連絡を取ることをやめた。あの日のバスでのキス、身体は繋がっても心は繋がっていなかったと思うとホントに悔しい。

中学生だが男は顔よりも中身だと知ることになった。

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