第3話 遊園地再び

美海は、急いでお城の前に向かった。

迷子になった時は、あらかじめ待ち合わせする場所を決めていたからだ。

そこにはママがいた。


「美海、どこに行ってたの?大丈夫だった?」


気がついたママが駆け寄って、心配そうに声をかけた。


「うん、大丈夫だったよ。ごめんね。」


二人ママの顔色を伺うが、あまり怒っている様子はなかった。美海ちゃんはホッとして肩の力が抜けた。


「ねぇ、今何時?」


「8時25分よ。」


腕時計を見ながらママが答えた。

朝8時の開園と同時に入園して、すぐに迷子になった。

こちらに帰ってからの移動時間が10分くらいなので、ウォルトに会って帰ってくるまで5分くらいの計算になる。

しかし、美海の感覚では、1時間くらいはお姉さんと一緒にいたはずだ。

お姉さんの言っていた事が本当だとわかり、明日会うのが待ち遠しくなった。

その後、美海は家族と、閉園まで思い切り遊んだが、頭の中は明日の事でいっぱいだった。


翌日、美海は急いで学校から帰ってきた。

走って帰って来たので、これでもかと言うくらい息が上がっている。

ランドセルを自分の部屋の勉強机に掛けて、うがいと手洗いをして、また部屋に戻る。

ママに怪しまれない様に、いつも通り振る舞っているつもりが、ワクワクし過ぎて駆け足と、にやけ顏を抑える事が出来ない。

机の前に立ち、深呼吸をしてからゆっくり机の引き出しを開ける。

引き出しの中には、昨日もらった光る玉が入っていた。

魔法で出来た物だから、突然無くなってしまうのではないかと、学校にいる間ずっと不安でそわそわしていた。

右手のひらをズボンでゴシゴシこすって汗を拭ってから、玉を握り締めた。

部屋の入り口の扉の方を向き、ゆっくり歩く。

ドアノブに手をかける。開くと昨日トンネルから出た時の様に、白い光が溢れ出して美海の身体を包んだ。

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