25日

 神棚の方から音がして、目が覚める。

 飛び起きて見に行くと、飾っていたあの箱の1から25までの数字が、すべて破り取られていた。

 シャン、という鈴の音がして、慌てて窓のある部屋へ向かう。風にちらちらとなびいているカーテンをどかすように開くと、スパンコールのような軌跡が夜の空の中へと真っすぐに伸びて、その後に続くシャン、シャン、という鈴の音が、冷たく澄んだ街へ降り注いでいた。

 しばらくの間その光景を眺めてから、そっと窓を閉めた。握りしめていた金属バットも玄関の傘立てに収納する。

 どうやら知り合いは、仕事の都合で何かしらこの部屋を利用したらしい。最初から言っておいてくれればいいのにと思うけれど、あいつは徹底した秘密主義だし、度を越したサプライズ好きなのだ。

 神棚のある部屋に戻る。床に色とりどりに輝く何かがちらばっていて、一つ手に取ってみると、それはどうやらキャンディーだった。電飾みたいなそれを両手いっぱいに掬い上げ、テーブルに載せる。

 ひとところに集められたそれは、街のイルミネーションのようにぴかぴかと点滅した。

「お礼、ね」

 やれやれと首を振り、再びベッドに潜り込む。


 メリークリスマス。

 今年もおつかれさま。

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アドベントカレンダー コオロギ @softinsect

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