第57話 その3
そのおかげで、不埒な真似をした男子生徒は全員震え上がり、風紀が正された。だから安心してください。と言ったところ、ちょっと心が揺れたらしい。
その話を[抜き打ち家庭訪問]で、まあ叔母が姪のところにやって来ただけなんだが、話をしていって帰っていった。
あたしはすぐにタカコに連絡して、タカコはカトーちゃんに相談。そして作戦を伝授されると、翌日に実行する。
いつもの朝のルーティーンを済ませると、たてはに1人で登校するのをお願いし、あたしは急いで待ち合わせ場所に行く。そこにはタカコと、カトーちゃんに命令されたオーツチが待っていた。
3人で喫茶店NIJYUに行くと、モーニングコーヒーで忙しいなか、はっちゃんパパに時間を取ってもらい店の外でオーツチに謝罪させた。
「お嬢さんのスカートをめくろうとして申し訳ありませんでした。紅にズボンを脱がされてそんな目にあった人の気持ちがわかりました、もう2度としません」
そしてそのまま土下座をした。
はっちゃんパパは、怒りをぶつけようとしたが、お客さんが居て人目があるのと、仕事中ということで、もういいから2度とするなよと言って赦してくれた。
あたしとタカコも、不愉快な思いをさせて申し訳ありませんでしたと頭を下げる。
はっちゃんパパが店に戻るのを見送ってから、あたし達は学校へ向かう。
オーツチは一緒にいるのは居心地が悪いらしく、先に走っていった。
「ここまではカトーちゃんの作戦どおりね」
「あとはビトーちゃんに任せよう」
その言葉でふと思いだし、タカコに訊ねる。
「ねえ、ひょっとしてビトーちゃんがノーパンなの、タカコは知っていたの」
「まあね、たまに様子がおかしいときがあったから、訊いてみたら履いてないって教えてくれたの。それでゲームをはじめたの。今日は履いているどうか。当たったら焼きそばパンのおごりってね」
「そういえば報酬の焼きそばパン、まだだったね。今日食べる?」
もちろん、とタカコは答えた。
登校してカトーちゃんに首尾を報告すると、ビトーちゃんを交えて、仕上げの作戦を伝授される。
その日の放課後、文芸部員全員ではっちゃんのところに出向き、はっちゃんパパに転校しないでほしいとお願いしに行った。
その声を聞きつけたはっちゃんが部屋から出てきて、転校したくない、みんなと別れたくないと泣いたので、条件付きで転校の話は取り消しとなり、こうして登校しているのだった。
「だけど、条件がはっちゃんと男子を2人きりにしないって言われてもねぇ。どうやって確認するつもりなんだろうね」
タカコの疑問に、カトーちゃんが答える。
「素直に赦せ無かったから、半分照れ隠しで言っただけよ。気にしない気にしない」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます