第39話 見たくないけど、見せなさい

 翌朝、教室に来るとムトーちゃん以外のシューガールとあたしで会議を始めた。


 まず究の資料を見せながら、みんなに説明する。


「あげは、ちゃんと理解して言ってる?」


カトーちゃんのツッコミはもっともだ。あたしは素直に解ってないと返事した。


「このデータ合っているの? ウチのクラスは女子がほぼ全員毎日のようにやっているのに、被害届けが無いなんてあるの?」


この質問には、タカコが答えた。


「被害じゃなきゃ届けないって事でしょ。見たところみんな自分からやっている感じよ」


「ああ、だからこんな輪っかみたいな感じになるのか。3年の1組と2組、それと5組。それから2年の1組と5組。そして1年の1組と2組と5組は、ほとんどやってないのね」


と、カトーちゃんが納得する。


「そうなのよ2ー3ウチのクラスを中心に、隣接するクラス、1年と3年の3組、それと2年4組がいちばん多くて、その次が1年と3年の4組。だから丸っぽくなるのよね」


あたしもそう答えるが、ここ止まりだ。これから何を導き出せというのだろうか。


みんなが黙ったところで、ビトーちゃんが口をひらいた。


「もしかしたら…本当に…電波が出てるかも…」


普段ならここで笑うところだけど、みんな無反応だった。タカコが言葉を拾う。


「なんでそう思うの」


「ムトーちゃんが…言ってたけど…、教室で…スカートめくりしてきた女子に…嗜めたら…急に…我にかえった…感じがしたって…」


「そんなバカな……」


タカコが笑い飛ばそうとして、言葉が切れた。


「どうしたの」


タカコだけでなく、カトーちゃんも考え込む顔をする。


「ごめん、乗っかる訳じゃないけど、あたしもトんでるというか、無意識だった事があった気がする……」


タカコの言葉にビトーちゃんも頷き、カトーちゃんは頷かないけど、心当たりはあるようだった。


まさか本当に電波が出てる……?


そんな気持ちになりかけた時に予鈴が鳴り、会議はここで終わった。


HRも1時限目も身が入らなかった。空想じみた、SFじみた、ファンタジーじみた考えが、どんどん膨らんでくる。


もしだ、もしそうなら、という前提で仮定してみる。


電波を出す[何か]がある。それによって女子がスカートめくりしたり、自ら見せたりする。

それがここを中心に、近いクラスから影響されて拡がっていく。


だとしたら目的は何? 目的は無い? いやそんな事はない、これには意思があるハズだ。でなければこんな不自然な事は起きない。


パンチラが目的? そんなバカな事で……


ああ、男子ならやるか……


あたしは昨日のオーツチの目を思い出した。

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