第38話 その5

 画面のマスは最初ど真ん中、つまりウチのクラスだけが赤くなっていたが、徐々にその周りに拡がり円というか輪となっていく。そしてそのままの形で止まった。


「ウチのクラスから始まり、周りに拡がり、ウチは鎮火して……、隣のクラスは解るわ、隣接しているからね。でも、階下の1ー3や階上の3ー3が同じくらい被害数があるのが解らない」


「その通りだ。被害の出方が理解出来ない。普通なら見聞きして流行りが伝達するのものだが、これはまるで影響力が電波のように伝わっている」


不思議な現象だ。不自然としか言いようがない。あたしは考えたが、適当な理由が思いつかなかった。


「究はどう思う」


「解らない」


究でも解らないか。だがその後に続く言葉は聞きたくない言葉だった。


「どちらにしろ極めて確率が高いのは、あげはのクラスに原因があるということだな」


やっぱりね。


頭を抱えているあたしを放っておいて、それぞれのグラフをプリントアウトすると、こっちに差し出した。


「僕に出来るのはここまでだ。あとは頼むぞ。廿日さんを転校させないでくれよ」


もっと手伝えよ、と言いたかったが、たしかにその通りだ。あたしは資料を受けとると、お礼を言って家に戻ることにした。


 さぁて困ったな。妙な事になってきたぞ。みんなにどう説明しよう。


 ちょうど玄関の前でスマホに着信があった。タカコからだ。電話に出る。


「あ、あげは、今いい?」


「うん。ちょうどあたしも話したかったから」


「何かあったの」


あたしは究の出したデータをかいつまんで話すと、向こうは黙りこくってしまった。


「ごめん、意味わかんない」


「だよねえ、あたしも分かんないもの。明日学校でまた話すよ。ところでそっちは何? なんかあったの」


「そうそう、ビトーちゃんから連絡あったんだけど、廿日さん、転校の手続きに動き出しているって」


「はあ!?」


「お父さんが高校のカタログを持ってきて、選びなさいって言ってきたって、ビトーちゃんに連絡があったって」


「マジかい!?」


はっちゃんパパ、マジだったかい。そのうち怒りがとけてうやむやになることを期待してたけど、やはり甘かったか。


訳のわからんデータが出てくるし、タイムアップが近い感じがする。

これをどうやって片付ければいいのよ、さんごちゃんのバカァァァァ、こんなもん丸投げするなぁぁぁ


ダメだ、あたしのアタマじゃ分からない。シューガールのみんなに期待しよう。三人寄れば文殊の知恵だ、5人ならもっと知恵が出る!!


ハズだよね……

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