第三話 この星も時間は止まることがありません

 そのうちみんなのママは自分の死が近いことを悟りました。

 そして寝たきりになると子どもたちを集めてこう言いました。


「人が死ぬのは当たり前の事です。自然界には自分の死期を察知する生き物も少なくありません。でも、心は無くなりません。私の亡骸は花壇の土に戻して下さい。そこには貴方達みたいに多様で綺麗なお花が咲く事でしょう。そして私の心は皆さんを見まもることでしょう。

 子どもたち、そしてパパ、たくさんの愛をありがとう」


 そういうと静かに目を閉じました。

 亡骸は花壇に埋められました。


 しばらくしてみんなのパパも死期を悟りました。

 みんなのパパは子どもたちを集めてこう言いました。


「私ももうすぐ死にます。私の亡骸は畑に埋めて下さい。豊かな野菜が実る事でしょう。私は人はなぜ生きるのかをいつも考えていました。その答えは肉体的に多様な個性を持ちながら一緒に仲良く暮らすみなさんが教えてくれました。


 人は自分の心を豊かに成長させ、個人の垣根を超えた大きな愛を育む為に生まれてきたのです。


 だから一つだけ守ってほしい事があります。それは——」



 まもなくしてみんなのパパは亡くなりました。

 亡骸は畑に埋められました。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る