第3話


 嫌いと言われた。


 うざいと言われた。


 はたして、その一言はそれが全てだろうか。


 友達に嫌いと言われて、あなたは怒って二度と会わなくなった。うざいと言われて、いじめてしまった。


 本当にそれでよいのだろうか。


 もしかしたら、あなたは気がついていないけれど、友達にひどいことを言っていたかもしれない。友達は辛いことがあったばかりで余裕が無かったのかもしれない。


 もしかしたら、お勉強ができるあなたが羨ましくて言ってしまったのかもしれない。素直になれなくて、好きなのについ言ってしまったのかもしれない。


 友達は苦しい何かを抱えていたのかもしれない。


 ヘルプのサインかもしれない。


 本当のメッセージが含まれているのかもしれない。


 嫌いは全てだろうか。


 うざいは全てだろうか。


 本当にあなたを見捨てる言葉なのだろうか。


 言われてすぐあなたは友達を切り捨てるだろうか。


 一言は全てではない。


 一言に落ち込むのも、苦しむのも、怒るのも、少し向き合ってみてからでもいいのではないだろうか。


 感情的になるのは、本当の意味を知ってからでも遅くはない。


 知れば友達は救われるかもしれない。


 本当の姿に気が付けるかもしれない。


 話すのを諦めたらそこで終わり。


 だって、大切な友達だもの。


 そこで諦めたら、その友達との楽しい未来も悲しい未来も、もう訪れない。


 あなたは一言を大切にしていますか?


 もしかしたら、自分の一言にも、自分で気が付くことが出来ていない本当の心が隠れているかも知れません。


 人は素直になれない時もある。本当の気持ちが見えない時もある。本心の横を通り過ぎて、気が付かないフリをしてしまう時もある。無理をして、背伸びをする時もある。


 だから、知る努力をしよう。


 あの子の一言にあの子の様々な過去があり。


 あなたの一言にあなたがこれから出会うであろう沢山の未来がある。


 ひとつを知り、幾つものあなたを知るのだ。


 たったひとつは幾つもの人生なのだ。


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花托の中身 白咲夢彩 @mia_mia

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