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 彼のいない日々に、耐えられなくて。


 死のうと思った。どうせなら、高いところで。

 結婚式とかに使われる、小さなアトラクションのお城。最上階。


 彼のことを考えながら、なんとなく、昇っていく。


 結婚したかったわけでも、付き合って恋人同士で仲良くしたいわけでもない。


 ただ、彼に寄り添いたかった。彼のどうしようもない何かに、癒せなくても、それでも、一緒にいたかった。つらくてくるしいのなら、私に出していい。私が一緒に受け止める。そんな、そんな普通でいい。


 でも、彼はいないから。


 私も。


 最上階。


 綺麗な夜景だった。


 こんなところで結婚したら、きっとロマンチックで、長続きするんだろう。そう思うような景色。


 どうでもよかった。


 ロマンチックなんていらない。


 彼はいない。


 柵を越えて、立つ。


 飛び降りる直前。


 彼の抱えていたどうしようもないものに、近付けたような気がした。

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