ランキング&他薦

 そうこう執務室でああだこうだと言い合っているうちに、バタンと勢いよく扉が開いた。見れば、王女が扉に手をついて肩で息をしている。顔が真っ青だ。よからぬことが起きたと、カエルムは椅子から立ち上がった。


「どうした」

「料理長が……怪我をっ」


 大急ぎで厨房へ行くと、料理長が足と腕に包帯を巻かれていた。いつもの調理着ではない。どこかへ出かけるところだったのだろうか。話を聞くと、馬で市場へ出かけようとしたところで、脇から来た馬車にぶつかったらしい。なんでも御者が物を読みながら馬を御していたという。器用な物だが、事故になったとあっては大事である。市の方で役人がことの始末に当たってくれたらしいが、双方ともに怪我なしでは済まなかった。

 一体どんなものを読んでいたのかと問うと、料理長はむすっとして薄い書物を突き出した。


「この本だわい。まったく夢中になりおって」


 言いながら、料理長の顔が崩れてくる。笑いを堪えているようにしか見えない。


「読んだのか」

「読んだわ。読んだからこそ言っておるんじゃよ。こういうものは外で読んじゃ危険。周りが見えなくなる」


 相当面白かったらしい。言いながら、やはり笑いを噛み殺しているようにしか見えない。短い書物だ。「さらっと読めるから後で殿下も姫様も読むがよろしい」と押し付けられ、王女はそれを丁寧にしまって続けて聞いた。


「ところで何で市場に? もう食材は朝に揃えておいたでしょ」

「姫様、それじゃあいかんのです。今日は祝い膳にしようと思いましてな。ユークレースの国際間の評価が突然上がったとか」


 この時期、国際的評価が相対的に上がるのは相当難しい。その中で、地域別(キャラクター文芸部門)で上位(18位)に来たそうだ。


「それは一過性とはいえ、すごいわね。ありがたいものだわ」

「うちはどうなんです」

「シレアは……900位台じゃよ」


 こちらはなかなか厳しい。王女はまだまだ、未熟ということなのだろうか。兄の手腕は(相対的に)上のようである。


 ***


 こんばんは。早速本日、読み終わって他薦です。

 宇部松清様「滝澤拓史の第二の人生」短編です。

 面白過ぎて面白過ぎて。

 今日は出勤だったので電車の中で読んでいたのですが、マスクをしていてよかったと心から思いました。

 https://kakuyomu.jp/works/1177354055604817612/reviews/16816410413996274289

 語り口がコミカルなのでサクッと読めます。


 せっかくですからもう一つ、

「閉ざされた扉……なら開ければいいさ」流々(るる)様

 ミステリー(血生臭くはない)です。短編。トリックに挑戦してみてください。私は外れました。地の文になっている探偵助手くんの男の子の語りが優しくてほんわかなのも魅力です。


 そろそろ私も長編をもう一つ二つ追いかけたいです。一月は空いた時間を執筆に使ってしまったので。仕事は相変わらず立て込んでおりますが、なんとか上手くやりたいところ。通勤時間があればそれなりに車内で読めるのですけれど。


 まずはどなたのところにお邪魔しよう。

 ***



 さてさて、完結後、『楽園の果実』が本日なんと上記の順位でびっくりしました。ありがとうございます。今日も一気読みしてくださる方が……薮坂さんが朝に最終話まで一気読みでレビューもくださっていたのに驚きました。朝ご飯食べながらカクヨム見ていたら読み途中でいらして→一時間後に読了。

 私の話はやはり一気読みタイプなのでしょうか。

 ありがとうございます!


『楽園の果実』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054894170460


 昨日からコメントへお返事しております。なかなか最後までコメント返しが行えておりませんで恐縮です。お待ちくださいませ。どれも嬉しく満面の笑みで読んでおります〜。レビューもたくさん、大感謝です。おかげさまでフォロワーさんも数人増えました。


 カエルム妹編『時の迷い路』も、順調に更新しています。

 こっちは順位が難しいですね……。カエルムくんの『天空の標』は妹編の上に立つ=妹編がないと『天空』のお話が完成しない、はずが、すっかり兄の威厳が(違う)。うーん、悩ましいなぁ、と消沈しつつ(特に順位はやっぱりがっくり来ますね〜)……。

 でもめげずに更新、完結を目指します。是非シレアにもお越しくださいませ!


 本編ではこの人たち、真面目なので。シリアスです。

『時の迷い路』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889868322


 こちらも過去にいただいたご感想や読者様の速度では、一気に読めそうなのかな? どうでしょう。二日くらいで読んでくださった方もいらっしゃいました。


 どうも私の話は後半の加速が癖みたいです。序盤〜中盤にあまりハラハラできないのはな〜と思って『楽園』では途中にもちょこちょこ入れてみたのですが。一回前の体験記で書いた、「初期設定のためにエピソードが変わった」件では、エピソードどころか登場人物まで増えてしまった(ヒュートス。元々はアネモスかどっちかだけでした。読了の方のみわかる話ですみません)。


 かわのほとり様から、ラピスとクエルのその後も読んでみたかった、という主旨のご感想をいただき、「描いてみたいかも」と欲張りになっている蜜柑です。今日ははっさくを買ってまいりました。明日食べます。


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