第24話 九月 二十六日



俺は晩御飯抜きで部屋にいかされた。

「バイトにはもう行かせないからな!あんな、ティッシュ配りなんて!去年も嘘を吐いていたそうじゃないか!」

だけど聞いてくれ父さん、バイトは辞められないよ。

「キャプテンってのは嘘だったのね、どうして嘘を吐いたの?」

ごめんな。

俺が説教されるのが全部のっぽに聞こえる。

部屋に閉じこもって宿題でもやろうとしたが、なかなか進まない。

これじゃ変装メイクなんて使えないよ。

携帯に話しかけてものっぽの返事は来ない。ベランダにも何もない。

久しぶりにベランダに出てみた。

「......ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

獣の声がした。携帯をすぐに耳にあててみるとのっぽが俺に話しかけようとしていた。けれど何を言っているのかが分からない。

眼を上げる。

遠くの空で何かが飛び回ってた。ゆっくりと昇る大きな円を町の上で描いている。Tの字のような形をした鳥。

その鳥には脚があった。

ブランブランぶらんぶらんと垂れ下がっている。

長い脚が血の気も無く鷲掴みにされていた。


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