第23話 九月 二十六日


夜ってこんなにも暗いもんなんだな。

星ほどの光しか放たない街灯の下を歩く。

すぐに駅へ続く中央通りに辿り着いた。

一ヵ月ほど前にここでのっぽと一緒にティッシュを配っていた事を懐かしく思い出す。変な掛け声で客を引いたり、誰が一番早く箱を空に出来るかを競ったり、あの頃は案外楽しかった。

のっぽはまだやってんのかな?

あの可愛い子もどうなんだろう?

携帯がテュルルルと鳴りだした。のっぽからだ。

「もしもし、どうした?」

「...」

「もしもし?」

「...」

「あのー」

俺は携帯を切らずにそのまま歩いた。なんか変な気がしたんだ。


家に着くとお母さんとお父さんが玄関の前で待っていた。

サッカー部のキャプテンじゃない事がバレたんだ。


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