第11話 八月 二十三日


夏休みが終わるまで一週間になったところで、俺は部長に呼び止められた。

「君、最近すごいよくやってるね、すごいよ。会社内でもトップの実績だから本当すごいよね」

「ありがとうございます」

「それで君、出世ね」

「出世?」

「そう、カラスに」

カラス。

「カラスって、一体何を?」

「簡単さ、他のティッシュ配りがちゃんと仕事をしているかを見るだけさ」

「それだけ?」

「そう、あと日給も上がる、二百円ぐらい」

部長が表のついたプリントを渡した。

「これに君の担当の「配り」の名前が載ってるから、仕事をやっていたら〇、ふざけていたら×をつけてね」

六人の名前が書いてある。その内の二人がのっぽとあの可愛い子だった。

「これから先輩に上手なやり方を教えてもらうから。本当なら僕でも教えられるんだけど、部長になる前はフクロウにまでなったからさ」

フクロウ?

「あ、もう来た。この人が先輩のカラスね。じゃあ、いってらっしゃい!」



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