妖怪達のバカ試合

@Contract

第1話 二つの世界のランデブーポイント

高校の入学式が終わってはや一か月だんだん落ち着いてきたかと思った矢先の事だった

一人静かな道を楽しむ、家に帰ったら何をしようかとそれだけが楽しみだ

帰り道の途中しばらく歩くと歩くと木と木に挟まれた歩行者専用の一本道が現れる

日中は木々に囲まれていて、光が差し込むとても良い散歩道なのだが

暗くなってくると日中の美しさと反比例するように、薄暗く不気味な道になるのだ


「ん?」


道の途中で色の付いた紙を見つけ気になり手に取ってみる

よく見てみるとそれは切符だった


「なんでこんな所に切符が?」


周りを見渡しても人影も見えない


もしかしたらと思い、すぐ隣の薄っすらと道になっている所に目を向ける

その奥に進むと小さなす祠があるのだ

知ってる人しか知らず昔はよく探検ついでに来たものだが

今となっては行く気も起きないが、もしかしたらとゆう思いで歩き始めた


「あれ?こんな遠かったっか?」


思い出の中で多少あやふやな所はあったが、二分程度も歩けばついたはずだが

確実にそれ以上歩いている

今更ながら引き返そうかと考えた矢先、少し先に光が差し込んでる場所が見えた


「やっぱ子供の時の記憶なんてあてにならないな」


そんなことをぼやきながら、遂に祠のところまで来たと思ったが全く違う景色が広がっていた


「…あれ?」


それは祠と言うには余りにも立派すぎた

そこにあったのは大きい庭のある、日本風の立派なお家だ


「取り壊されたのか?」


しかし家はあたかも昔からあったかのようで、庭の木々の様子や家質感を見ても取り壊された根拠になりえなかった


「おい、なぜここにいる!」


いきなりの事で反射的に声のほうに目を向けると白髪で髭を伸ばした老人が

庭から叫んでいた


「やばい!」


完全に言動がやばい感じのやばい人だ!

全力で元来た道を戻り始める


「いや、ちょっと待たんかって!」


数歩逃げたところでまるで体が勝手に動きを押さえられた

とても強い力で、逃げようと思っても逃げられない


「なにこれ夢?そうか夢か!」


「なに一人で納得してるんだ、それよりどうやっての世界に来たんじゃ?」


少しずつ危ない感じの、危ないおじさんが近づいてくる


「いや~夢だったらさ、もっと美少女に囲まれるやつとかさ、そら~を自由に飛びたいな、みたいな感じのやつにしてよ」


「だから夢じゃないと言っとるじゃろが」


頭に軽くチョップをくらわされた


「ここは宵の世界じゃ」


「宵の世界?」


「さよう、神や獣などのが住む世界じゃ」


「あ~爺さんこの年になってFFとかはまっちゃった感じ?気持ちは分かるけどさもういい大人なんだし現実見ようよ」


たまにいるんだよね、リアルと現実ごっちゃにしちゃうやつ

まあ中学までの俺だが


「取り敢えずわしの言ってる事を信じてないことだけは分かった」


「いや、信じるほうがおかしいって、じゃあさなんかやってくれよ」


「いきなりやって見せろとは図々しい奴じゃな、例えばどんなのだ?」


「うーん、一生働かなくても生きてけるくらいのお金を出すとか」


「おぬしは欲望に素直じゃの」


「それだけが取り柄なんで」


「でもそうゆう関係はわしじゃ無理、そっちは恵比寿様とかの方じゃないと難しい

のう」


「管轄違いですか」


「管轄違いじゃのう」


神様の方もお役所作業に近いのだろうか


「そろそろどうやってお前さんがここに来れたか教えてもらえんかのう」


「切符拾って持ち主探して祠の方に来たら、ここに出ただけだよ」


「素直で結構、しかしそんなはずないんだがな…」


少し考え髭を撫でながら話す


「古来より聖域というものが伝わっておるじゃろ」


「パワースポット的な?」


「それも間違ってはいないんじゃろうけど、もう一つの何もないのに入ってはいけない場所みたいな感じじゃ」


「ああ、たまにネットでそんなのありますね」


「その領域に足を踏み入れ、たまに来てしまうものがいるんじゃよ」


「それが俺ですか」


「その可能性が一番高いんじゃが、かと言ってここがそういう場所かと言われればそうじゃないいじゃよ」


「と言いますと?」


「多分おぬしは祠の方に来たはずじゃろ?」


「ええ」


「その祠がここじゃからの、別にただえわし達の家があるだけじゃ」


「しかし恵比寿様とは管轄違いとか言ってましたけど会う事とかあるんですか?」


「わしは結構あるぞ、飲み友達だし」


「飲み友達って…」


「まあ神や獣によってそれぞれじゃの、気の合う合わないとかもあるし

派閥もあるし」


「なんか人間臭いですね」


「当り前じゃろ、人間の信仰あっての我々だしの」


「わしの娘だって今北海道のどこかの土地の神様と遊んでくるとか言って

遊びに行ったぞ」


「うわー自由ですね」


「何たって神じゃからの、遊び惚ける者もいれば

神様の元で勉強する者もおるし、本当にそれぞれじゃ」


「それでおぬし、いったいどう帰るつもりじゃ?」


「え?なんかこう、ノリで戻してくれるとかじゃないんですか?」


「そうしたいのも山々なんじゃが、昔はいくつかこっちとそっちを繋ぐルートがあったんじゃが、もうほとんど閉じてしまって使えんのじゃよ」


「えぇ…」


あくまでもこの爺さんは設定この設定を守るようだ、まあ途中まで話しを合わせといて途中で逃げよう


「悲しいけど仕方ないですね、こっちの世界から帰る方法をゆっくり探します」


「若いのに落ち着いてるの、見直したわいじゃがしかし、親御さんに連絡くら

いはしときなさい」


「そうですね」


スマホを開き電話をしようとするがずっとコール中だ


「なんじゃ、出ないのか?」


「ええ、この時間帯だとつながるはずなんですけど」


違和感を覚えスマートフォンに目を移すとそこには普段から見慣れていたはずの

表示が変わっていた


「ぎゃやあああああああ、世界の終わりだああああ!ログボが!ガチャが!スタミナが!この俺の生命線ともよべるパイプラインが切れている!もう終わりだ!死ぬしかねえええええええ!」


全力で元々来た道をを走り始める


「爺さん、あばよ!俺をあの電波の飛ぶ素敵なあの世界にかえる!」


「落ち着け全く、見直して損したわい」


突如体が硬直しそのままの勢いで地面に頭からスライディングを始める


「あがーー!」


全力で地面にダイブするなんていつぶりだろうか、ってそんな事より今のは何だ!?

さっきと同じで急に体が何かに押さえつけられたような!


「えっとおじいさま、その気持ち悪い新種の獣は何ですか?」


「知紗お帰りこいつは人間じゃよ」


「しってはいましたが、ここまで気持ち悪いと思っていなかったのでつい確認してしまいました」


「おい!誰が気持ちわるいだ!」


カッとなって声のほうに顔を向ける

そこに立っていたのは白いケモミミとふっさりとした尻尾をはやした

ただの女子高生だった

背が高く、長く黒い髪がなびき、整った顔立ちをした美少女だった

あと性格はブサイク


「おじいさま、なんでこの新種の汚い人間がこの世界にいるんですか?」


「僕からも質問が、なんでこんな所にコスプレをした性格

ブサイクな、痛々しい女子高生がこちらにいるのですか?」


「コスプレなんかと一緒にしないで貰えますか?

これはしっかりと母から受け継いだ格式ある証なので類人猿さん」


「おっと、頭以外にも目の方まで、おいかれになられて

たんですね、お気遣いできずにすみませんでした」


たがいに笑顔で微笑みながら目を合わせ近づく、友好関係の第一歩である


「おいおい、これはどちらの世界にとっても歴史的な瞬間なのだぞ?

もっと互いに交友的になれんのか」


「ちょっとまだ人間界の方は知能が発達してないようで難しいです、おじいさま」


「僕もちょっとこの人は、会話にも難がありそうなので別の方ならよさそうです」


「まったく、困った者たちじゃの」


「「まったくですね」」


「変な所で息が合うの~、そうじゃな、千紗の人間界の案内役となるなら帰してやれるかもしれないぞ」


「どうゆうことですか?」


「いきなり何の関係もないよそ者がこちらに来てしまっては大問題だ

だからわしらは基本そのような人間はこちらの世界に留める

しかし、今我々も段々と人間界との繋がりが完全に無くなってしまうことを危惧しておって、そこでおぬしの出番じゃ」

「今の人間の生活を宵の世界に知沙が情報として持ってくる、そして事情を知るお前さんが知沙を人間界で手助けする、これなら行き来くらいはできるんじゃないかのう」


「おじいさま!なんで私が類人猿に近いかもしれない人の為にこんな事しなければならないのですか!?」


「元々わしらの住んでる祠も人間が作ってくれたもの人間じゃ、わしの後継ぎになるんじゃから助けることを抜きにしても是非やって貰いたいんだがのう」


「おじいさまがどうしてもと言うなら…」


露骨にに嫌そうな顔を向けてくる


「人間もそれでいいかのう?」


「ここから帰れるのであれば」


なかなかのつらい決断ではあるが背に腹は代えられない


「じゃあ決まりじゃの、話を通してくるから少し待ってなさい」


そう言うと俺らを残して爺さんは家の方へはいって行ってしまった



「「……」」


何とも言えない、静かな時間が流れる風や自然の音がやけに大きく聞こえる


「このままっていうわけにいかないだろ

僕は 空見 和也そらみ かずや君は?」


「私はまだちゃんとした名前がないから取り敢えずおじいちゃんがつけてくれた

知沙って呼んで」


「まだちゃんとした名前がないって言うのは?」


「私のおじいちゃんは地主神、この森の神だから私が後を継ぐまで基本的に私に名前は無いの」


「へー」


やはり文化とゆうのは全く違うようである


「てゆうか宵の世界から帰れないとか言ってたけど、見た感じ

普段どうりなんだけど」


「ここだけね、おじい様の管轄を出ようものならあなたの知らない世界が広がってるわ」


「どうゆう事だ?」


「宵の世界には独自の社会があるのよ」


「お店とか学校とかみたいな所?」


「まあそんな感じね」


「なんかゲームの世界来たって感じですごいな」


「あら今そんなこと言える、あなたの頭の中もお花畑で凄いとおもうわよ

実際おじいさまが逃げるあなたをそのままにしておけばこの世界から出られなく

なっていたでしょうし」


「まじかよ…」


「まじよ、人間をよく思ってない種族だってたくさんいるでしょうに

なんでこんな人間をおじいさまは助けるのかしら」


「後で感謝の証としてあのおじいさんに俺のお気に入りのフィギュアを捧げよう」


「そんな物要らないわよ、穢れるから辞めて」


幾度もおれの疲れ果てた心を癒してれた物を穢れるなどと言われるのは

腹立たしいのだが少し気がかりなことがあった


「あとさ、一応なんだけどこの切符の持ち主知らないか?」


ポケットに手を入れてみるが求めていた感触がない

途中で落としたのだろうか


「落としたみたいだ」


「落とし物を落としたの?」


「そうみたいだ、これが道に落ちててもしかしてと思ってこっちの方に来てみたら

この世界に出たんだ」


「ふーん、あなたにも良心は一応あるのね」


「おいおい、俺みたいな聖人はなかなかいないぞ」


「寝言は寝て言って」


言葉にはとげがあるが少し表情は柔らかくなったように見えた


「お待たせ二人共、取り敢えずだけど許可が下りたよ」


「よかったぁ」


取り敢えずこれで一安心だ



「知沙が人間の世界に行くにあたってルールがある

一つ目ははその耳と尻尾を隠すこと

二つ目はこちらの学校で習う力は使わないこと

三つ目はこちらの世界をばれないようにする事」


「人間も三つ目は守るように」


「分かりましたけど、もしばれたらどうなるんですか?」


「そうじゃな、最低死刑かのう」


「最低死刑とか怖すぎでしょ」


「そして千紗お前のやることも決まった、この人間か通ってる学校に通ってもらう」


「学校…ですか?」


「学校じゃ懐かしいだろ?それだけしてもらえれば後の行動はお前に任せるだそうじゃ」


「分かりましたおじいさま」


「いや待てよ、急に入学とかできるもんじゃないだろ」


「そこはな、こっちの力を使えば問題なしじゃ、何ならお前さんがサポートしやすいように教室が一緒だしの」


「なん、だと!?」


学校での時間をある程度一緒にいると思うと思わず顔が引きつってしまう


「こっちだっておじいさまのお願いじゃなければお断りよ」


プイッと顔をそむけてあからさまに嫌そうな態度をとられる



「この調子で大丈夫かの、まとりあえず学校は来週からじゃから練習もかねて

二人で明日は遊んできなさい」


「まあ、いきなり学校ってわけにいかないもんな」


「おじいさまが言うのでしたら」


「君の名前を教えてもらっていいかな、流石にこのまま人間と呼ぶわけにいかんからのぉ」


「和也です」


「和也君、すまないが明日娘を迎えに来てくれんか」


「それくらいであれば」


せっかくの休日をゴロゴロしていたかったのだが事が事だけに仕方ないだろう

とゆうか人生初めての女の子との外出じゃないだろうか

初めての女の子との外出がここまで心躍らないものになってしまったことは

何とも悔しくてならない

さらばわが青春よ

だがしかし、ならば相手にもせめてこれくらいは知っておいて貰いたい


「知沙さん、改めって言うのもなんだがお願いがある」


「一応聞いておいてあげるわ」


「僕の初てをあげるから!せめて優しくしてくださいっ!」


僕の初めての女の子との外出と言うイベントをげるのにあたって至らない事が多いだろう

これまで全くイベントがなかったのだ、こいつは性格ブサイクだからせめて、こいつなりに優しくしてほしい



言い終わったかと思うとその瞬間激しい衝撃と共に宙を舞っていた


「…え?」


何事かと思った頃には知沙は家の中に入って行ってしまった


「なんだよ!俺に優しくするのがそんなに嫌かよ!」


「いや、そりゃあ誰じゃってそんな手順飛ばしてそんなこと言われちゃ

嫌じゃろ」


「手順って!初めての女子と外出だから至らないことがあっても優しく頼むって

言っただけでしょ!」


「そう言うことじゃったか、多分別の意味に伝わったんじゃろ」


「別の意味?」


「まあ誤解はわしが解いておくからとりあえず今日はもう帰りなさい

そろそろいい時間じゃろ」


辺りを見渡すと周りが木々に囲まれているからか少し薄暗くなった空が

怖く感じられた


「分かりました」


「それじゃな、また明日ここで」


気がつくと目の前にはいつもの祠しかなかった


「夢だったのかな」


ポケットのなかに手を入れるとやはり切符はなくなっていた




全くばからしいよな


一応昨日経験したことが夢じゃない可能性もあったのでいつもの

森を突っ切る一本道に足を運んでいた


心の中では何ともアホらしいと思っている

何度もリアルと描かれた世界を行き来したのだ

どんなに望んでもそんな事ありはしないのだと心の中で何度も理解してきた


それでも足は動いた、それでも希望にすがらずにはいられない



祠の道に入り始める


「いなかったら帰ればいいだけの話だ」


とは口で言いつつも足は自然に早く進んでいった


一瞬明るい光が差し込んでくる、その光の中でとらえたのは、いつもの

古い祠がただたたずむのみだった


「やっぱりな」


来るっと回り元来た道を戻ろうと足を進める


「あら、もう約束を忘れて帰ろうとするなんてやっぱり貴方の知能

は類人猿にも及んでなかったよね」


足を止めて動揺を悟られぬよう前を向いて話す


「せかっく人が迎えに来てるんだから出てきて待ってなかった

礼儀知らずのコスプレーヤーを置いて帰ろうとしただけだよ」


「そのコスプレイヤーなんて人いないわよ?美人で性格良くて

おまけに礼儀も格式もある私しかこの待ち合わせ場所にはいないわ」


振り向くと昨日会った美少女からはケモミミと尻尾はなくなっていた


「じゃあ君でいいや、さっさと行こう」


「君でいいやなんてセリフを女の子に言うなんて嫌われるわよ」


「君ならむしろ本望だよ」


少し距離を開けて二人で歩き始めた




「今日の目的地に到着だ」


「えっと、これはどうゆうお店なの?」


「ここはショッピングセンター、いろんなお店が集まってるお店」


「お洋服だったり、ごはんだったり、遊ぶ場所だったり?」


「そう、初めてだからいろんなのがあっていいと思ったけど、何だかんだで

来る途中もそうだったけどこっちの世界に詳しいんだね」


「人間の世界のことは授業である程度習うのよ」


「へーそんなのあるんだ」


僕たちの授業で言うところの世界史だろうか


「ならどこかこの中で行ってみたいところとかある?」


「えっと、このお店」


彼女は少し恥ずかしそうに壁に掛けられた案内板に指をさした




「にしてもお前がこんな可愛いのに興味あるなんてな」


「なによ悪い」


顔を赤くして少しむくれて返ってくる


「いや悪くないよ、意外だっただけ」


「そう」


知沙が指さしたのはペットショップだった


さっきから小さな子猫を笑いながら眺めている

黙ってそうしていれば悪くないのだが


「動物好きなのか?」


「子供の頃からね、あなたは動物好きじゃないの?」


「好きだよ、見ていて癒される、お前猫カフェとか好きそうだな」


「なにその猫カフェって?まさか猫をたべる!?」


「それは知らなかったか、簡単に言うと猫と触れ合いながらカフェを

楽しめるところだよ」


「天国ね、今度はそこ連れて行きなさい」


「おっと、タダでとはいきませんよ、もちろんそれなりの事をしてもらわないとね」


グへへといかにも悪役らしいえみを零す


「仕方ないわ…あなたを人間と認めてあげるわ」


「言った割にはしょっぱすぎないかな?」


「これでも結構頑張ったと思うのだけど」


彼女からここまで人と認識されるのが難しいとは思っていなかった

まだブラック企業の上司のほうが人扱いしてくれそうな勢いである


「それでかよ、まあ今日は結構ここから距離あるから無しだけど」


「やっほー和也君、つい声かけちゃったんだけど、デート中だった?」


声の方に顔を向けるとクラスメイトの彩音さんがいた


「違うよ彩音さん、えっとこっちは」


「初めまして、空見君の親戚の知沙です、転校してきたばっかりでこの辺知らなかったから案内してもらってて」


「そうゆう事だったんだ」


「そうそう、急にね」


ナイスフォロー知沙


「来週から僕たちと同じクラスになるみたいなんだ」


「そっかじゃあこれからよくだね!えっと」


「知沙っていいます、これからよろしくお願いします」


「そんなにかしこまらないでよ!私は 平坂 彩音ひらさか あやねこれからよろしくね!」


二人共微笑みながら軽く握手を交わす

一時はどうなるかと思ったがどうにかなりそうだ


「私もこのままついて行っていい?面白そうだし!」


「かまわないわ、いいわよね和也君」


「もちろん、大勢の方が楽しいしね」


「だよなねぇ、楽しいよねぇ昼間からこんなに可愛い女の子達と

歩いてたらねぇ!」


ねっとりとした男の声が右肩から響く

今頃は悪魔のような笑いを顔に張り付かせているだろう

うちのクラスのリア充葬り隊に一言報告するだけで僕はそのまま

学校からドロップアウトするのだから


左方に置かれた手からすごい圧力を感じる


「誤解だ佐藤さとう話を聞け」


「そうだ知沙!いきなりで悪いがこれまでの説明を!」


「えっと、空見君が初めての人(こっちの世界の友人)で

平坂さんにも(これから一緒に遊ぼう)これからどうかって

誘ってたとこ」


「おい、お前それ完全に分かってやってるだろ!」


「これは死刑を免れないなぁ」


俺の必死さに比例してどんどんと笑顔の彫が深まっていく

ここまでくるとイカ墨パスタの方がまだ白い可能性もある

ついには左肩から変な音が出始めるしなんなら感覚がなくなり始める


「違う佐藤!誤解だ!」


笑いながら彩音が説明してくれた


「千紗ちゃんはこっちに引っ越して来た和也君の親戚だよ

今は街を案内中でいいんだよね和也君?」


「そう、そのとうり!ナイス彩音さん!」


「なんだそうか、全くビックリしたぜ」


「そうだよ早とちりだよ全く」


笑いながら肩から佐藤の手を外す


「それよりみんなゲームセンターに行かない?」


「別にいいいけど、いきなりだね和也君」


「やっぱりさ、みんな仲を深めるには遊ぶのが一番だと思ってさ、知沙さんも佐藤もそれで良いよね?」


「ええ、良いわよ」


「良いだろう行くぞ!」


さて、計画通り

この右肩の落とし前を付けるとするか


「和也君なんかやたとニヤついてるわよ、そんなに彩音さんか佐藤君が好きなの?」


「彩音さんは可能性があるのは分かるけど、佐藤はおかしいだろ!」


「そうゆう趣味じゃ無かったの?」


「当たり前だろ!」


「なら彩音さん狙い?」


「まあ可愛いとは思うけど今回は純粋に知沙がみんなと仲良くなれそうで

良かったと思ってるんだよ」


「あっそう、あっあなたが素直だと調子狂うわね先行くわ」


何か気に食わなかったのだろうか?そっぽむいて先に歩いて行ってしまった

一体何がいけなかったのだろうか、やはり女性は難しい





「最初はエアーホッケーかベタだな」


「ベタで良くない?」


「私も良いと思うよ!みんなで出来るし楽しいし!」


「私は初めてなので緊張しますね」


「知沙エアーホッケーやった事ないんだ珍しいね!」


「チームは僕と知沙、佐藤と彩音でいいかな?」


「良いだろう、お前じゃこの佐藤には勝てない」


「おいおい、寝言は寝て言え」


両者共にオーラがで始める


「どうして男って高校生にもなってここまで馬鹿なのかしら」


「あはは、面白くて良いじゃん!さっそく始めるよ!」


綾香が100円を投入すると機械てきな音が鳴り始める

ガコンと音がするといつもの白いプレートが下りてくる


「俺らからだな、行くぞ!」


「来い佐藤」


「ほどほどにお願いね彩音さん」


「勝負するからには全力で行くよ!」


「あなたもたいがいね」


一人呆れ顔を作る


「いくぞ!」


白い丸いプレートが飛んでくる


「とう!」


力の限り打ち返す


「遅いよ!」


そのまま彩音に打ち返される


「甘いわ!」


さらにそれを読んでいたかのような反射

で知沙が打ち返す


そしてそのままゴールにプラスチックの玉は吸い込まれて行った


「やった!」


なかなかに運動神経はいいようだがここからなのだ


「知沙まだ喜ぶのは早い!」


「え?」


気が付いた時にはもう白いプレートがゴールに飲み込まれていくの


「ガコッ」


「点を入れられたら、次の瞬間にはゴールを狙ってくるんだよ」


「ふふふ、これで同点だぜ!お二人さん!」


「ナイスだよ、佐藤君!」


「知沙ここは俺に任せてくれ」


下からの白いプレートを手に取る


「いいけどもう二人共警戒してるわよ」


「いや、俺にいい考えがある、いくぞ!」


そのまま手に持ったプレートを全力で佐藤に投げつける」


投げられたプレートは吸い込まれるように佐藤の顔面に当たる


「ぐあ!」


「ごっめーん佐藤☆手が滑っちゃった」


思わず笑顔がこぼれる、これでさっきの借りは返せた


「いやいいよ、事故ならしょうがないもんな、その代わりに

俺らかいくぞ」


「分かったよ」


そして顔は笑いながらそのまま野球の投球ホームに移る


「手が滑ったぁ!」


「やっぱりなぁ!」


とっさに右の方へ倒れこむ、その瞬間俺がいた場所にすごい速さで

プレートが飛んできてそのまま後ろの壁に突き刺さった


「今のはわざとだろ!」


反射的に叫ぶ


「いや、事故だ」


「…そっかーまあ事故なら仕方ないね!」


そのまま右手に持っていた打つための道具を投げつけた


「おっと、手が滑った!」


残念ながらこれは回避された


「チッ、外したか」


「本性表したな和也!こっちも手が滑ったぁ!」


「とう!」


ここで投げてくるのも予想通りだったのでそれも難なくかわす


「コラーお前達、何やってんだ!」


声の方を見てみると店員と思われる人が俺らの状況に気が付いたようだ


「ヤバい!佐藤!」


「おう和也!、二人共逃げるぞ」


「えちょ、待ってよー!」


慌てて彩音も追いかけ始める


「何がしたいんだか、この人達は」


それに釣られるようにして知沙も走り始めるた

みんなで笑いながら走ってにげた逃げ続けた




その後もショッピングセンターをみんなで見て回って遊んで回った

そしていい時間になったのでお開きとゆう事になり

俺は千紗を送るため二人バスに乗っていた

夕陽が赤く染まりバスの窓からはその温かな光が差し込んでくるの


「今日はどうだった知沙さん」


「やっぱり人間ってバカね、どこでも子供みたいにみんなはしゃいじゃって」


「いやいや、知沙だって結構楽しんでなかったか?」


「別にそんな事ないわよ」


「そうか?」


「そうよ」


不機嫌そうに顔を外に向けて答える彼女が反射して見えた

要らない事を考えてしまいそうな自分がいたので視線を前の方に直す


「さいですか、学校の方は問題なさそうだな、クラスにはこんなのばっかだ」


「想像するだけで嫌になりそうね」


「とか言って楽しみなんでしょ」


「そんな訳ないわ、面倒なだけよ」


「素直になればなぁ」


普通に可愛い女の子なんだけど


「ご乗車ありがとうございました次は~


「ほら降りるわよ、早くしなさい」


「はいはい」


バスが止まり料金を支払おうと思ったが、前にいたお姉さん

財布を広げて焦っていた


「どうしたんですか?」


「二百円足りなくて…」


「じゃあ良ければどうぞ」


「いえ、悪いですよそんな」


「困った時はお互い様ですって」


料金を入れる所に先にお金を入れてしまう


「悪いわね、ありがとう助かったわ」


そして自分達の分のお金を入れて続いて下車する


「さっきはありがとうね、今度ご飯でもおごるから

空いてるときに電話して頂戴ね」


「いいですよ、たった二百円ですし」


「それじゃあ何だか気が済まないのよ、私のためだと思ってさ」


電話の書いた紙を半ば強引に手渡される


「ありがとうございます、ではお言葉に甘えて」


電話を書いた紙を受け取り歩き始める


「そこはあなた遠慮しなさいよ」


「おいおい、可愛いお姉さんからの招待状だ受け取らないわけにいかないだろ」


「お金を払ってあげたのもお姉さんだったから?」


「もちろん!」


「嘘つきね全く」


小声でよく聞き取れない


「なんか言った?」


「別に言ってないわよ、あなたが下心丸出しだって」


「それ言ってるじゃん!」


「後ね私たちの動きをみて宵の国のほかの派閥からもこっちに来るかもしれないから注意してっておじいさまが」


「なにそれ、襲われたりするの?」


「露骨なのは問題になるから無いとは思うけど、一応注意してねって」


「分かった、一応聞いておくけど、その人たちも尻尾とかケモ耳とかってあるの?」


「あるんじゃないかしら、多分隠してるでしょうけど」


「人生の楽しみがまた増えたな」


「やっぱり人間は俗物ね」


夕陽に照らされてできた二人の影に、一本の尻尾がふりふりと動くのだった





























































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