自伝 コクハク

御鏡 鏡

自伝 俺と言うもの

ドクターストップを患っている、肉体的な物でなく精神的な奴だ。

精神病患者ってことになるのだろう。

もう患って長い、もう八年になる。


病院の先生からは、ようやくバイトの許可話は出た。

しかし無残にも、親からはバイトは禁止された。


親が高齢で肺炎にかかったことがあるからだろう。

その際に、その肺炎は治らないよと言われたことに起因する。


このコロナの時代に、外に出るな。

お前がコロナにうつったら、私が死ぬと言った。


これにより、俺に外出と言う時間が訪れるのは月一回だけの病院の日だけになった。

この日だけは公共交通機関、バスを使って、三度移動し病院に行くのだ。

この日だけが、俺の唯一の安息日となっている。

お釣りが出るので、好きなクロワッサン・ベーグルを二個だけ買って帰るのだ。

それでスタンプを一つ貰うのが俺の楽しみになっている。


しかし、追い打ちがある。

今の俺に収入と呼べるものは無い。これが問題なのだ。

細々とした、過去の栄光の残りとそれの、過去の貯めたものだ。


それももう尽きかけている。

親からは医療費が高額で負担になるため、お前にかける金はない。

と、今日言われた。


今まで小遣いなるものを、出して貰った覚えはない。

なのに、お前にかける金は医療費だけだと言ったのだ。


市の行政は、手帳があれば申請は出来るんですけどと言われている。

精神障害者手帳のことだ。


アレは普通の企業にまだ努めたいという思いがあって、受け取ってない。

俺の重症度では、額が知れてる。

生きるのには、足りない。


タカが数千円受け取って、権利を手放すのは無謀もいい所だ。

普通の会社に勤めるという、夢を持って俺はかろうじて生きている。


ドクターストップが治る見込みは今のところない。

精神と限りなく肉体が融合してできた、うみのようなものだ。

それが、お医者様の出した答えだ。


お医者様からは明治のR1を一日一本進められてはいる。

多少なりと考えて下さって、いろいろご自分で試された結果この状態になっている。親からは一週間に三本で隔週なら認める、と言われた。

お医者様の行為をも踏みにじる、無残な結末が得られたのだった。


俺はこの先ずっと、コレと付き合ってかなくてはならない。

精神が極致に至ると、それが肉体に伝播し体調を著しく崩すのだ。

この病気は精神疾患ではあるが、肉体の疾患でもある。


そうして俺は小説を書いている。

現実は小説よりも奇なりだ。


書けと誰かが、私の内でささやくのだ。

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