10 end

 授業中。彼はいつも、ふとももを触らせてくれる。

 長机なので、気付かれることはない。


 彼のふともも。

 暖かい。


 ふとももをひたすら撫で回して、右と左の間のところに挟んで、出したり引いたり。


 隣を、ちょっと眺める。


 彼。なにもせず、ぼうっとしていた。


 でも、彼の片方の手はずっと、わたしのおなかのあたりを触ってくれていた。おなかをさわられると、安心する。外側も。内側も。彼の手も、中に出るものも、暖かくて好きだった。彼の温度に触れているとき。自分も、生きているという、熱い感覚がある。


 彼とまぐわいたいけど。授業中だから。ノートをとって、自分の欲求を曖昧にごまかす。


 そういう、いつもの授業時間。


 彼の温度だけを、感じていた。

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