第二話 デスストーリーは突然に

 朝はいつも慌ただしい。

 学校の始まる3時間前には起きて、30分かけて朝食や身支度を行う。そして、2時間30分前には家を出る。


 これが、僕のモーニングルーティンである。

家と高校に距離があるので、いつもより数分でも遅いと遅刻してしまうのだ。

 

この日の僕は焦っていた。家を出る時間がいつもより遅くなってしまったのだ。

 

 焦りは禁物ということわざがあるが、まさにその通りである。焦りは心の余裕を失くしてしまうのだから慎重に物事は進めた方が良い。

 実際にこの時は余裕は一切無かった。


 冷静になって考えると、高校生活において問題点はなく、遅刻もしたことがないのだから一度遅刻をしたからといって大きな問題は無かったはずだ。

 しかし、この時の僕は、遅刻は絶対にしてはならない。

なんとしても時間通りに登校しなければならないという考えしか持ち合わせていなかった。

 

 自宅から高校までは電車を使わなければならなかった。

最短の駅は約25分の距離があるのだが、途中の道には横断歩道が二つあり、一つはいつもトラックが多く通っていたのだった。


 この情報を伝えた上でこの日に転生したという情報を足すとどう感じるだろうか。(どうせトラックに引かれたんだろう。)とか(ありきたりな展開だな。)

とかなのだろうな。


 しかし、この横断歩道は転生に全く関係ない。横断歩道を通るよと伝えたかっただけである。


 なぜ転生することになったかというのは少し待って欲しい。これから分かるから。

 

話を戻そう。


 横断歩道を渡った僕は、走っていた。

 電車の時間に追われていたからだ。


 事故は二つ目の横断歩道で起きた。否、実際は歩道橋で起きたのだが。

歩道橋を急いで渡っている時に、足を滑らせて階段から転げ落ちたのである。

 後から聞いたのだが、頭から地面にぶつかってしまったのが致命傷になったらしい。


 こうして、柊浅緋の人生は16歳で幕を閉じたのであった。

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転生した僕は転生前の自分と仲が良い 岡止々岐 @Okatotoki106

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