15.君が全部悪い!


ぐぅ~…。

ぐぅ~ぐごっ…ぐぅ~…。

「もうすぐ、帰ってくるわよ。起きなくていいの?」

ぐぅ…。

起きるか‥。

ふぁ~あぁぁんっと。

ぬ?いつの間にか、外が暗いじゃないか…。

全く、いつまで僕をほったらかして遊んでるんだ!

ちゅ~る1本じゃ足りないんだぞ!

5本…10本はいるんだからな!


「遅いねぇ~。そうだ、ママと迎えに行っちゃおうか!」

お迎え?

それは、玄関にじゃなくて?

‥‥行くッ!

今日は、僕が迎えに行ってあげる!

だって、僕ってば優しからな!

ママ、行こう!


「あら?行く気満々ね。じゃあ、これ着けて行こっか!」

うん!…うっうん?

ママこっ…これは?

うっ…やだこれ…。

ダサいし、邪魔だし…なんか、ヤダ!

「ダメよ!このハーネス着けてじゃないと、お外には出られません!それか、病院用のバックに入る?」

病院!?!?

なななななっなんで、病院!

僕、このハーネス?といか言う紐の方が好き!

うん!

好きかも…。

好きじゃないけど、嫌いじゃないよ!


「よし、じゃあママと駅まで迎えに行こっか!寒いから毛布もちゃんと巻いて…よし。良い子で抱っこされていてよ。」

フフフッママってば、僕は賢くていい子だよ?

それと…毛布があるならこの紐要らないと思うんだけど…。

まっまぁ、ママの抱っこで温かいからいいか‥‥。


フンフンッ。フンフンフンッ‥。

ほう、あの家は今日はすき焼きか。

ぬっ?あの家は、サバの味噌煮…いいセンスじゃないか。

くわっ!あの家は、くっさいワンなんとかがいるな!

近寄らないぞ!

外は、色んな匂いで一杯だな。

知らない匂い

嫌いな匂い

美味しい匂い

なんだか、落ち着かないな‥‥。

ん?なんだか、知ってる匂いが、だんだん近づいてくる?

なんだ?


「マ~マ~!迎えに来てくれたのぉ?」

「お帰り。あんたが居なくて、寂しいって言うから連れて来たわよ。」

ぬっ!ママ!僕は、そんな事言ってない!

ちょっと、僕のベッドがスカスカするだけで…。

寂しくなんてない!

「へっ?そうなのぉ~!んもぉ!寂しかったのぉ~それに、毛布にくるまれて可愛いしぃ!ンフフフッ!あれっ?ハーネスまで、プッ!かわ~い~い~。」

あん?君は、1日ぶりにあった僕に対してそんな態度を取るのか…。

許さん!

カプッ!


「うわぁ!噛まれた!ママ噛まれたんだけど!」

「今のは、あんたが悪いわよ。ねぇ~。」

そうだ、君が全部悪い。

勝手に遊びに行ったのも

せっかく、迎えにきた僕達を馬鹿にしたのも

‥‥全部君が悪い!

フンッだ!

絶対、謝らないからな!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る