第34話:撃退
カーミラからはヒュウガ達の事で毎日嫌味を言われた。
最初に生肉を食べさせた特は軽くだった。
血のソーセージを与えた時には少し強く嫌味を言われた。
だが血の効果があったのか、ヒュウガ達が少し強くなった気がした。
ただ以前自由に鳥などを狩っていた時ほど強さは戻らなかった。
カーミラから強く厳しい嫌味を言われたのは豚血を与えてからだった。
ヒュウガ達が劇的に力強くなったからだ。
ヒュウガ達が満足するまで豚血を与えた。
ヒュウガ達は日に日にとても強くなっていた。
その影響なのか、カーミラがほんの少し強くなった気がした。
カーミラは本気で怒っているようだった。
だがそれでも俺を追い出そうとはしなかった。
ヒュウガ達に豚血を飲むなとも言わなかった。
その辺がカーミラの優しさだと思う。
幸せそうに美味しく豚血を飲むヒュウガ達に、飲むなと言えない性格なのだ。
だがそんな生活が長く続くはずがなかった。
どれほど警戒しようとも、ここはヴァンパイアハンターに見張られていたのだ。
彼らには組織力も資金力もあるのだろう。
むしろそんな中で1年間隠し通せたのが奇跡だと思う。
その1年の間にヒュウガ達は信じられないほど強くなっていた。
それに影響されてカーミラも力に満ちていた。
まあ、それでも、本来の神祖ヴァンパイアの力には遠く及ばないだろう。
ただ1度どころか2度3度生き返られる力は取り戻したと思う。
いや、今のカーミラを殺す事はとても難しいと思う。
現に今回の襲撃を見事に撃退していた。
カーミラの眷属でしかないヒュウガ達だけでヴァンパイアハンターを撃退した。
ヒュウガ達が殺したヴァンパイアハンターの数は13人だった。
この人数に意味があるかどうかは俺にも分からない。
だがヴァンパイアハンターが前線の戦闘要員だけではないのくらい分かっている。
支援要員がいて、指揮命令を行っている本部があるはずだ。
必ず次の襲撃がある。
次の襲撃までに少しでも強くなる。
真祖ヴァンパイアには成れなくても魔法の1つは覚えてみせる。
何時までもヒュウガ達だけに頼ってはいられない。
問題はヴァンパイアハンター組織に国家が関係している場合だ。
国家権力が相手だと、ヒュウガ達の力の源である血の購入を邪魔されてしまう可能性があるのだ。
だがそれよりも先に片付けないといけない問題は、ヴァンパイアハンター死体の始末だったが、それはカーミラが許可してくれたので何とかなった。
カーミラがヒュウガ達に死体を食べる許可を与えたのだ。
人間の死体を血液ごと食べたヒュウガ達は、とてつもなく強くなっていた。
カーミラも神々しいくらい強くなっていた。
これなら国家が相手でも戦えると確信できるほどだ。
だったら俺は勉強に専念して少しでも早く真祖ヴァンパイアになる。
真祖ヴァンパイアに成って、カーミラの手を取れるようになって見せる。
引きこもり吸血姫に一目惚れ 克全 @dokatu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます