第11話 戦い1

「彩芽ちゃんおはよう〜」

「おはよう、朔来ちゃん」


 いつも通り、いつも通り接しよう。

 どんな境遇であれ、みんなはみんななんだから。

 

「...放課後も活動するけど、一緒に行く?」

「え、いいの?!」

「...まぁ、止めはしないわ。暁月さんの決断の材料になればいいのだけど...」

「ううん。大丈夫!!勉強させていただきます!!」


 すると、ため息をついてこういう三來ちゃん。


「あなた...やる気があるのになんでならなかったのよ...」

「えーっと...すぐに決断するのは良くないし、もう少しどういうものなのか知ってからの方がいいと思ったの」


 嘘をついてはいない。ただ、少し怖くて、みんなの足手纏いにならないか心配...

 だから、“怖さ”に慣れようとしている。

 “怖い”ことに慣れれば、みんなに迷惑をかけないと思った。

 みんな...怖がっている様子はないし、きちんと連携が取れている。

 なりより、冷静になっているのがすごいと思った。


「ねー、三來、この問題、どうやって解くの?」

「此処は、“解の公式”を使って__」

「三來、これは何でこうなる?」

「...啓、朔磨に教えてあげて」

「あー、オッケー」


 みんなの...迷惑にならないように...


 放課後、再度校門に集まった。

 私は、武器として木刀を持ってきたけど...


「...少しアレンジしておくわ」


 そう指パッチンした瞬間、木刀が刀になった。

 驚いている私に他の子が、早くしまわないと警察に見つかったら大変だよ、という。


「それは心配ないわ。...すぐそこに“奴ら”がいるから」


 そう言った瞬間、おぞましい生き物が次々と現れる。

 ヒトの形をしているものの、色々とぐちゃぐちゃになっていたり、首がなかったり、首だけがあったりと地獄絵図のようだった。

 しかも、そのヒトの形をしているものが赤く染まりながら歩いていたり、首に手足が生えているためか、なお恐ろしい。

 首には、何か痕がある。


「啓...!!」

「ああ、間違いないよ。これは...縄の跡だ」

「ってまさか...これは...!」

「...最近、駅のホームに飛び込んだり、自らの首を縄で締め付けたりして、自ら命を断つ人達が多いけど、まさかこれも...ウワサのせい...」

「...早く片付けるわよ!!」


 ...こんな...危険な“ウワサ”がいる。


「暁月さんは、周りの奴らを倒して!」

「は、はい!」


 次々と襲ってくるウワサ達を、慣れない刀で切っていく。

 自分の体力が徐々に削られていき、動きが鈍くなった。

 危ない所を何度、みんなに助けられたのだろうか。

 自分より、みんなの方が辛いのに...。

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