第4話 ピンクの液体
ゴクリと、真宙はつばを飲み込んだ。コップの中にある液体はきれいなピンク色をしており、見ようによっては美味しそうに見えなくもない。用心のために匂いを嗅いでみると、特に何の匂いもしなかった。
そうやって躊躇していると、ぷりんが無邪気な顔で覗き込んでくる。
「大丈夫だって。それとも私の好意は嫌?」
「え、えっと……。い、嫌な訳ないじゃない」
少し悲しそうな表情になった彼女を目にした真宙は覚悟を決め、その液体を喉に流し込んだ。最初は無味無臭の色付きの水と言う感じだったものの、時間差でものすごい違和感が襲ってくる。
「うえええええええ~」
「ちょ、真宙?」
ピンクの液体が胃袋に流れ込んだ辺りですっごく生理的にキツい刺激が真宙の身体の中に満ちていき、彼女の身体はそれを受け入れるのを拒否してしまう。
全てを吐き出した後、床にまきちらされたそれは一瞬の内に蒸発していった。
「ゲホッゲホッ、一体何なのこれ……ゲホッ」
「私の好きなピンクジュースだけど、この世界の人には合わなかったかぁ」
「て言うか即蒸発したんだけど? この世界にも合ってないんじゃないの?」
真宙は、飲まされたものの正体を知って怒りに身を任せる。そのクレームを黙って聞いていたぷりんは、最後まで聞き終わるとニッコリ微笑んだ。
「でも真宙が元気になって良かった」
「でもじゃないよ! もし死んだらどうすんのよ!」
「でも死んでないでしょ。良かったね」
どれだけ怒鳴られても、ぷりんはそれを受け入れた上で無邪気に笑う。そんな彼女を見ていたら、すっかり毒気を抜かれてしまった真宙なのだった。
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