ファーストコンタクト

第1話 ファーストコンタクト

 魔法陣を書き終えた少女は、その全体図がひと目で分かる位置にまで後ずさる。そうして、本に書かれていた数字からそこに秘められていた密意を読み取り――多分、無意識に――何かを呼び出す言葉を唱え始めた。


「……より、我はそれを望むものなり」


 最後まで詠唱を終えたところで少女は強い疲労感に襲われ、その場に倒れてしまう。次に彼女が目を覚ましたのは、自室のベッドの上だった。少女の視界に映る見慣れた天井。おぼろげな記憶を辿りながら、彼女は全てが夢だったのかと思い込む。


 と、そこで部屋のドアがバーンと勢いよく開いた。母親かと思った少女が反射的にドアの方に目をやると、そこには見慣れない同世代の少女の姿。その子は目を覚ました少女の姿を認めると、すぐにすごい勢いで歩み寄ってきた。


「起きたのね、ひろ

「え? 誰」


 それが彼女――ぷりんとのファーストコンタクトだった。

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