生きようとしない背中、死ぬための仕事(※えっち注意)

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「勝手に殺すなよ。生きてるよ」

「うそ」

「おまえが生きてるのに、俺だけが死ぬのは不公平だろうが。すまんが、救急車を呼んでくれ。血を失いすぎて、今にも意識が飛びそうだ」

「あっ。あっあっ。救急。救急車」

「そう気負うな。命に別状はないよ。貧血気味なだけだから。落ち着いて119を押せ。最近不在119番とかが増えてるから、ちゃんと場所を言わんといかん」

「わかった。待って。いま電話するから」

「なあ」

「うん。ごめん救急車呼ぶから待ってよ」

「結婚しようか」

「えっ」

「あ。だめか？」

「付き合ってないのに結婚するの？」

「だめか」

「1回えっちしてからにしようよ」

「はあ？」

「ね。そうしよう？」

「いやだ。婚前交渉はいやだ」

「救急車呼ぶのやめるよ？」

「いやだ。貧血で倒れちゃう」

「1回。1回でいいから。おねがい」

「わかった。じゃあ、えっちする直前に告白しよう。指輪が先だ。これが譲歩できるぎりぎりだな」

「あっ救急車1台おねがいします。ええと、事故、事件、ええと」

「幻想案件って言ってくれ。それで通じる」

「幻想案件です」

「はあ。生き残っちまった。まだ死ねねえなあ」