第21話

自室に戻りしばらく時間が経ったとき。

「悠真ー、いる?」

軽いノックと共に入ってきたのは、スカートと半袖を着た李緒だった。

「どうした?」

俺は相変わらずながら、部屋着であるスウェット姿で過ごしていた。

「いやその、大した用じゃないんだけど......あたしの友達がさ、悠真に会いたいって言うんだけどどう?」

李緒にしてはめずらしい、友達を俺に合わせるという注文。

前は、朱莉の友達である、ゆあや李緒が来たのだが、今日は李緒からの注文だった。

「ああ、別にいいけど......この恰好じゃマズい?」

普通に考えれば、この恰好じゃダメなのは分かっているが、一応李緒に訊いてみた。

「うーん......あの子だからなぁ。そのままでいいんじゃない?」

意外な答えだった。

「そ、そっか。それじゃあ、来たら呼んでよ、俺ここにいるから」

「分かった」

李緒はそう言うと、俺の部屋から出て行った。


それから数分。

もう一度ドアがノックされ、入ってきたのは李緒ともう一人の女の子だった。

「はい、この子が悠真に会いたいって言ってた、子鐘夕莉こがねゆりだよ」

「あ、あの......よ、よろしくです」

控えめに挨拶する夕莉という幼女。

さすが李緒の友達といえるように、遜色ない美少女だった。ショートボブという髪型は、とんでもなくこのに似合っている。おとなしい雰囲気がありながらも、どこか興味深々な感じにも見える。だから言うならば、ゆあとあんまり変わらないような雰囲気かな。

何系かと言うなら、好奇心旺盛こうきしんおうせい幼女系。

まあ一言でいうならば、めちゃくちゃかわいい。

「夕莉か......。夕莉は、どんなことをするのが好き?」

俺は椅子に座りながら、夕莉に唐突な質問をする。

「えっ?あ、えーと......基本的には、なにかしていればなんでも好きです。料理とか、ゲームとか、ご飯を食べている時とか......」

夕莉は俺の唐突の質問に対して、ちょっと戸惑いながらそう答えてくれた。

「なるほど。うん、ありがと。あとは、好きな事してていいよ」

「あ、はい。じゃあ、朱莉ちゃんと遊んできますね」

「はいよー」

俺は軽くそう言うと、夕莉はすぐに俺の部屋から出ていった。

「......というか、あれってどういう質問?」

と、今の会話を聞いていた李緒が俺に向き直り訊いてきた。

「ん?ああ別に。ただ、どういうことをするのが好きなのかなって思ってさ」

「はぁ?全然わかんないんだけど」

「うーん......なんていうの。その、好きなことを聞いといたほうが、何か買ってあげる時とかさ役立つでしょ?」

「あ、ああ......でも、さっきの答えって、具体的じゃない気がするけど?」

「大丈夫だって。これも、小説の取材っていう事も兼ねてるしさ」

「ふーん。悠真って、たまに変なこと言うんだね。あたしたちが分からないような事言ったりさ」

たしかに、それは言えてる。

自分でも、何言ってるか分からないこともあるもん。

「ま、あたしも、悠真の事についていろいろ知りたいし。だから、こうやって取材してるでしょ?」

と、唐突に李緒が俺の膝の上に乗ってきた。

「ちょ、おい......っ」

「なに?もしかして......恥ずかしいとか?」

すると、李緒は俺の方を向いた。

「............というか、なんでこんなことを?」

「だーかーら、取材だって言ってるでしょ?」

「そ、それは知ってるけどさ......」

というか、なぜ取材なのにこんなことをする必要があるのかが分からない。

「とにかく、あなたは夕莉と仲良くなってよ」

李緒は俺の膝から降り、そんなことを言い出した。

「えっ、あ、まあ、うん......というか、なぜそんなことを?」

「うーん......なんとなく」

なんとなくでそんなこと言っていいのかよ!?

「そ、そっか......うん、頑張って仲良くはなるよ」

「うん、頑張ってね」

李緒はそう言って俺の部屋から出て行ってしまった。

「どういうことなんだか......」

李緒が言う事は俺にはよく分からないことが多い。

でも、それを何とか理解しようとはしているんだ。

とりあえず俺は、みんながいるであろうリビングに降りていった。


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ロリコンに幼女 らかん @dipper36

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