第13話  花粉症よ こんにちは




 ご無沙汰しております。

 少し前から頭がポーとしてくしゃみが出る。

 喉も痛いし、少し熱っぽい……。

 コ○ナかインフルエンザかもと不安になって病院に行くと、

「これ、花粉症です」

 と言われました。

「花粉の容量を超えたんですね」

「容量ですか?」

「はい。分かりやすく言えば、人にはそれぞれに花粉の容量があるのです。容量を超えた時、花粉症が発症するのですよ。それはみんなが生まれつき持っているもので、子供のうちに花粉症にかかる人は茶碗のような容量しか持っていなかった人で、高齢の方でもならない人はドラム缶のような器を持って生まれた人といえるでしょうね」

「それじゃわたしの場合は…」

「どんぶり茶碗くらいでしょうか」

「治療によって改善は出来るのでしょうか?」

「いやあ…」

 と先生は苦笑した。

「毎年出るようになるでしょうね。今はスギ花粉だけかもしれませんが、そのうち檜やブタクサ・イネなどにも反応される可能性は大いにあります。緩和は出来ますが、完全治癒は望めないですね」

「それじゃわたしは毎年花粉症に悩まされるのですね」

 わたしが絶望したように言うと、先生は笑った。

「そんな悲壮な顔しないでください。みんな上手に付き合っていますよ。発症当初は堪えますけど、そのうち慣れてきます。むしろ憂鬱になる心根の方が問題なんですよ。上を向いて花粉症と付き合ってください」

(なるほど)

症状が重篤という訳ではないのだ。

うっとしいだけなのだ。

めげない心が大事なのでしょうね。

それに薬を飲めばかなり緩和されるのだから、来年花粉症がやって来ても、

「こんにちは」

 とそれぐらいの気持ちで迎えてやろうと思いました。

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徒然なるままに 白鳥かおる @seratori

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