第8話 髪セット

その日の夜。

「お兄ちゃん、今日どこ行ってたの?」

そう俺に話しかけて来たのは中学3年生の妹の柚葉(ゆずは)だ。

「ちょっと遊んできただけだよ」

「ふーん、彼女か」

「え、なんでわかんの?」

「お兄ちゃんのことなんて丸わかりだよ」

「不服だ」

「お兄ちゃんにひとつアドバイスすると髪を整えて行った方がいいよ」

「いや、なんで?これでも良くない?」

今の俺は前髪が目にかかり相手からは目が見えない状態だ。

「お兄ちゃんは髪をセットした方がいいの。わかった?」

「はい、わかりました」

妹には逆らえませんでした。

「じゃあ、明日私がセットしてあげるから朝早く起きてね。」

「わかったよ」

翌朝

「じゃあお兄ちゃんこっち来て。」

「うん、変な風にはしないでくれよ」

「するわけないじゃん。えーとこうしてああして。OKできたよ」

「お、おうありがとう」

これは自分から見てもなかなかかっこいいと思った。髪がだよ。決して自分の顔ではないからね。

「これで学校行ってきてね。」

今の俺の髪型は前髪をあげたアップバングだ

「任せろ!」

そして俺は学校に着き教室に入った。

「ね、ねぇ誰あれ?イケメンじゃない?」

「あんな人いたっけ?」

何故かヒソヒソ話が至る所でされていた。

え、俺の髪そんなに似合ってない?

そして席に着いた

「お、おはよう凛」

「おはよう光星」

「今日の髪めっちゃかっこいいね」

「ありがとう」

俺は凛に褒められて嬉しかった。

そこで周りの視線を一気に感じた。特に女子の視線だった気がする。

「光星、ちょっといいかな。」

「う、うん」

俺はなんだろうと思い着いて行った。

「どうしたの?凛」

「光星今日なんで急に髪をセットしてきたの?」

「いや、妹に言われて」

「そうなんだ。やっぱり妹さんはわかってるね」

「何が?」

「これからはできるだけしないで欲しいな。するなら私といる時だけにして欲しい。今日の光星大人気だよ」

「え、なんで?」

「分からないの?光星がイケメンだからだよ」

「いやーそれはないよ」

「それがあるんだよ」

「じゃあこれからしないように気をつけるよ。する時は凛の前だけにする。」

「それでよし」

そして俺たちは教室に帰って行った。

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