第42話『格上に勝つ方法』

ブロロロロロロロロロロロロロロロッ!。


「ふっふざけるなこんな事が許されると言うのか!?」


『やかましい盾女ですね、雑魚は雑魚らしくさっさと轢かれて逝きなさい』


「なっ何だと!?レイナと言ったかな君は!それが本音か!?」


ブロロロロロロロロロロロロロロロッ!。


「プップレアさん、喋っちゃ駄目ですってば!」

『こんな三下には雑魚扱いが相応しいと考えるんですが……』


「なっまた雑魚と言ったな!?もう許さん!シールドバッシ…フゴォッ!?」


………鍵を掛けた決闘が始まった。

何が起こったのかをカンタンに話すと、開始の合図と共にプレアが発進。そのエンジン音とか諸々にかなり驚いた勝ち組冒険者パーティーの盾女がプレアを真正面から受け止めた。


一撃で轢くことが出来なかった事に軽自動車のプライドを傷つけられたのか、プレアはさっきから盾女を雑魚雑魚と執拗に煽っていた。


そしてそれにブチ切れした盾女にプレアは土魔法を気付かれないように発動。


真後ろから頭に握り拳サイズの石を直撃させて意識を吹っ飛ばした。


「あっ………がっ………ガクッ」


「うわぁー、プレアさんもやっぱりアカシアさんの仲間なんですね…」

『私はマスターの僕です、しかしそういう感じでの同族認定は勘弁ですね』


俺も軽自動車と同族認定は嫌だよ。

………はいっということ訳で第1戦はこちらの勝ちである、つまりは次のユーレシア戦でチーム戦の勝利が確定したわけだ。


この戦いでわかった事は、格上の相手。様は高レベルの冒険者や会社の上司に社長と言った圧倒的な権力者と言ったありとあらゆる格上達も……車で轢けばみんなお終いって事は変わらないんだ。


俺は格上に勝つ方法を見つけたのかもしれない。

マジでやったら犯罪だからな。



そして続く第2戦は。


「このアンジェラ様の戦斧で吹っ飛ばしてやるぜーー!」


「………はいドーーンッ!」


バッコォォォォォォンッ!


勝ち組冒険者パーティー1の巨乳、俺っ子のアンジェラとやらがチートメイドのワンパンで自慢の戦斧が粉々に粉砕されて吹っ飛ばされていた。


「はいじゃあ俺達の勝ちですね、おつでーーす。失礼しまーす」


俺が帰ろうと踵を返すと貴族のおっさんとイケメン、それに何故か姫さんまでも待ったをかけた。


「まっ待て待ってくれ!」

「これはいくら何でもおかしいんじゃないかな!?」

「そうですよ!折角アカシアさんの戦いぶりを見れるって聞いたのに……」


知らないよそんなのさぁ……。


「おかしいって何がだよ?チーム戦で3回勝負なら先に2戦勝った方が勝ちだろ?ただでさえこっちは何の旨みも無いのにそっちにいきなり呼び出されてこんな勝負を引き受けてんのによ」


「…………ッ、そっそれはそうだが…」


俺の言葉に詰まる様に唸る貴族のおっさん、いくらアンタが偉くてもなぁ社畜をこじらせた三十路がいつまでもへーこらと従うと思うなよ?。


俺は偉くも無いのに偉そうにするヤツも。

本当に偉いから偉そうにするヤツも等しく大嫌いなんだよ、土下座させてやりたくなる。


「そっそれなら最後の勝負に其方が勝ったら僕は何でも1つ言うことを聞こう、それでどうだ!?」


どうだじゃねぇよ。そういうセリフはお前の取り巻きの誰かが言うから意味があんだぞ。

金髪イケメンなんて視界に一秒も入れたくない俺の願いは今すぐここから出て件のダンジョンに向かうことだよ。


しかしこの主人公脳のアホにいくら言葉で話しても無駄だろう、何しろイケメンで人の姿をしているが脳みその中身が、自分を物語かなんかの主人公だと勘違いしているコイツはただのチンパンジーだ。


類人猿にすら今一歩届かないチンパンジー如きに説得を理解するなんて高度な能力は無いんだ。


ここは俺が折れてやるしかないか……。


「分かった、その勝負を受けて立つ。しかし少し俺の方からルールを追加してもらう」


「……ルールの追加?」


そうだよ。この格上との勝負に俺が確実に勝つための布石を用意させてくれよ?。

こう言う泥にまみれた経験が全くなさそうなボンクライケメンには……それに相応しい敗北を味合わせてやろうじゃないかクククッ…。


「相棒、顔がもの凄く悪意にまみれているぞ?」


うるさいよ、黙っとけユーレシア。



そして追加されたルールだが、別に大した事はない。


「つまりその傘のスキルを発動してから試合開始のする……それだけか?」


「おうっそれだけだよ…」


俺はインビジブルアンブレラをプレアに亜空間から引っ張り出してもらった。

それだけ?バカが、俺とお前の勝負でお前に勝ちがあるとすればそれは開幕ぶっ放の一撃KOくらいしかないんだよ。


それを予めインビジブルアンブレラを使って姿を隠してしまえばそれもない、つまり俺の勝ちである。


俺は内心ほくそ笑みながらインビジブルアンブレラを開いてスキルを発動。

俺の姿が他の連中からは見えなくなる、それと俺の気配も出す音も一切分からなくなる。


ついでに俺が事前に傘を使っている所を目撃でもしてなければ俺に軽く小突かれても誰かいるって思考する事すら出来なくなるんだよ。


正にインビジブルって感じがいいよな。


「完全に姿も気配も消えたな」


「相棒の気配なら私が分かる、相棒は既にその金髪の正面に立ってるぞ?さっさと試合開始の合図をするといい」


「……分かった、ではっ試合…始め!」


試合開始の合図と同時にイケメンが脱出口する。


「先手必勝!ミデオン・セイバー!」


バカだ、先手必勝って既に先手を俺に譲っといて何を言ってんだか。

イケメンが持つ実にファンタジーゲームの後半に出て来そうな豪奢な装飾が施された聖剣みたいなヤツを思いっきり振るう。


すると剣が地面に突き刺さっただけで凄まじい轟音と共に衝撃波が発生し地響きが起こった。

もしもあの振り下ろされた剣の先に俺がいたら一瞬で消し飛んでたぞ?何を考えてんだあのカスイケメンが……。


…………もちろん俺は試合開始の時点であのイケメンの目の前になんて立ってないぞ。

流石はユーレシア、俺の相棒だな、当たり前の様に俺の作戦を理解して流れる様に嘘をついていた。


ちなみに俺は万が一にも最初の攻撃が俺に飛来しないように、ユーレシアやプレア達の背後に移動していたよ。


イケメンは煙がもの凄くモクモクしている中で突っ立っている。

その顔には今の一撃で勝利を確信してま~すって感じが滲み出てるな。


「舐めやがってイケメンが!……セレンいけるか?」

『いける……おまかせ……』


フッもちろん1対1とかあり得ないだろう?この俺がよ、最初から懐にセレンを忍ばせていたのさ。


一緒にインビジブルアンブレラで見えなくすればバレもしない、完全犯罪って気持ちがいいんだよな。


さてとっ全ての準備は整った、覚悟しろよ?イケメンがぁ……。





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