第26話 王妃様には勝てない

私は、今何を見せられているのだろう…私の事でこうなっているのか?それは数時間前にさかのぼる。私はいつものように部屋で過ごしていた。その時、ノックの音が聞こえた。ドアを開けてみると急いできたように息を荒くしていた。


「どうしたんですか?!」


驚きながらも部屋に入れ、休ませた。


「ツキノ様、今すぐ王妃様のもとへ」

「何かあったんですか?」

「この前の殴ったという件について…」


そういえば、ルイ様が呼ばれるかもって伝えてくれてたな。自分の事だし行かないという選択肢はない。すぐ準備して案内してもらった。


「アオイ、急にごめんなさいね」

「ルイから殴られたって話を聞いたのだけれど大丈夫かしら…?」

「はい、大丈夫ですよ。」

「調べてみたら、夫が色々やらかしてるみたいで…今から謝らせるからついてきて頂戴」


王様に謝らせる…?!そんなの不味い。一般人以下の私が、この国で一番偉い王様を謝らせるなんて何をしでかで問題になっちゃう。


「私は、大丈夫ですからお茶しませんか?」


と行かないように頑張っていうけどそれは全く聞かなかった。


「アオイが許しても、私はあの人を許さないわ。絶対に謝らせる。」


そう押し通されて、王様がいる部屋へと向かった。周りの視線が怖いんだけどと思いつつ大人しくレティ様についていった。


「あなた!謝りなさい!」

「急に入って来て何のことだ?」

「あなたの方の人間がアオイを殴ったのだけれど…?」

「そのものがなんじゃ別に何にも必要ないだろう。私たちが今必要なのは聖女であるセナなのだぞ」


そこから今に戻ってくる。目に前で口論、喧嘩をしているのだ。部外者の私が口を出して止めるようなものじゃないしな~と思っていたその瞬間、ドアが大きな音を立てて開いた。


「父上、母上何をしているのですか?」


現れたのは、ルイ様。この状況をどうにかしようと誰も止めれなかった空気をガラッと変えた。


「ルイは、私の味方でしょう?」

「いいや、私の方だよな!」

「なんでそう揉めているのですか?」


そこからルイ様に状況説明をすると波乱な展開になるのは誰も想像できなかっただろ。


「それは、父上が悪いです。私は母上、アオイさんの味方をします」

「あんな奴の何はいいのだ!」


そう言い放った一言で空気が変わった。レティ様とルイ様から見たことも感じたこともない雰囲気を出してる。


「言わせてもらいますけどね。その聖女はちゃんと魔法が使えるんでしょうね?」

「あぁ!もちろんだ。セナを呼ぼうではないか!」


騎士様に連れて来いと言ってから数十分が経った時。やっと扉が開く音がした。振り返ってみるといたのはセナだけではなく手を繋いでアルベルト様もいたのだった。今私が密かに会いたくなかった二人が目の前にいると思ったらふらっとしてしまった私をすぐに気づいたグレンさんが受け止めてくれた。


「あっ、すみません」

「大丈夫ですか?きっと王妃様がいらっしゃるので何もないとは思いますが…」


私が思ってくれた事を察してくれたのか安心させるようにそう言ってくれた。レティ様はこっちの味方をしてくれている…それでもあの時の星宮さんの顔が頭から離れなかった。あざ笑うような…そんな顔。今目の前にいる星宮さんは誰だって惚れそうな顔だった。


「王様、私に何か御用でしょうか?」

「セナには魔法を使って見せて欲しくてな」

「えっ、魔法をですか…私まだ習ってる途中で…」

「聖女ならば大丈夫だ。今ここで使って見よ」


使えるはずなのだから困った顔しなくていいはずなのだがとても焦っている?何かあるのだろうか?そんな姿の星宮さんを見かねてアルベルト様が助け舟を出すように


「父上、セナはまだ実践したことがないのです。急には無理です」


そう言ってるが私たちが来てからだいぶ日が進んでいる。年増の私でも出来た事が聖女様が出来ないはずない。そう思って油断している時、急に星宮さんが言ったことが大変なことになった。


「せめて、月野さんにお手本を見せてほしいです。」


私が先に実演しろと言われたのだった。急に魔法が使える様になってからは物凄く勉強をしたから使えないことはないけど…魔法が使えるってことは秘密にすると話をしたのに使っていいのだろうかとおどおどすると。


「月野さんは、魔法が使えないんでしたっけ?」


あの時と同じあざ笑うかのような顔で言ってきた。きっと自分が有利に立っていることを分かって言っているのだろう。それに、私はついイラっとしてしまった。星宮さんより魔力は少ないだろうけどやってやろうじゃないと決めグレンさんに声を掛けた。

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