第2話 お城の図書館へ

眩しい光が目に入ってきて目が覚めた。背伸びをして体を起こす、ベットから出てこの部屋にある唯一の窓から外を覗く。異世界に飛ばされたのは夢じゃなかったと思い知らされるような、日本とはまるで違う景色。これからどうなるのかな私…そのことだけぼーっと考えてると、ドアがノックされ現実に戻される。


「ツキノ様、入ってもよろしいでしょうか?」


この声はグレンさんだ、私が起きた気配でも感じ取ったのだろうか?


「はい、大丈夫ですよ。どうぞ」

「失礼します。今お時間大丈夫でしょうか?」

「大丈夫ですよ」

「入ってきていいぞ」


グレンさんのその一言で二人の侍女さん同じく二人の騎士様が入ってきた。

侍女さんが前に出てお辞儀をする。


「この度、ツキノ様のお世話をさせていただきます。侍女のクリスタとレーナです」

「グレンと同じくツキノ様の護衛になりました。ライナ・エーベルとクラウス・シュノールです。」


なんと!私に侍女さんと騎士様ですか?!王様、意外と考えてくれてたんだ。

だけど申し訳ないな、こんな顔が良いわけでもない私のところに配属とか…


「申し訳ないです。私のところになってしまって…」


落ち込み気味で声を出した、けれど私が思った反応と違った。


「「「「そんなことありません!」」」」


四人に声をそろえて言われてしまったのだ、いやそんなことあるよね?と1人で考えてるとエーベルさんが代表で声を上げたのだった。


「ここに来る途中までにグレンにツキノ様のお話を聞きました。お話を聞いただけでもそんな人だとは思いませんでした。ツキノ様と話した今、私はツキノ様を守る護衛につけて心からよかったと思っております。」


その他、三人も首を縦に振っている。まだ自分は納得はいかないけど…


「みなさん、ありがとうございます。この国のことは全然わからないので教えてもらえると嬉しいです。これからよろしくお願いします。」


そう言って、頭を下げる。これからお世話になるのだからと挨拶をした後、侍女さんが用意してくれた服に着替えたらすることがなくなった。このお城に図書館とかないのかとりあえず、グレンさんに聞いてみることにした。




◇◆◇




今、私はグレンさんたちに案内してもらい、お城の廊下を歩いている。ちなみにライナさんとクラウスさんとクリスタさんは少し戻らなきゃいけないらしく図書館にはグレンさんとレーナさんがついてきてくれた。あの後、図書館の事をグレンさんに聞いてみると。不審な動きや王様の部屋や聖女の部屋等など行かなければお城には居ていいという事だった、私が行きたかった図書館は問題ないらしい。ちゃんと返すのであれば本も借りていいとのこと。あんな質素な部屋に連れて行っておいて、これはいいとか?意味わからないんですけど~と心の中で愚痴る。てか廊下歩いてるだけで騎士様たちがこっち見てるような気がするんだけど…気のせいかな。


「ツキノ様着きました、ここですよ。」

「案内ありがとうございます。」


声を掛けられて着いた事で着いたことに気づいた。部屋に案内されたときは、お城から遠いなと思ったのに書庫まではあっという間に感じた。けれど実際には重そうな大きな扉が目の前にあるのだ。私では開けれないのでグレンさんにお願いして開けてもらおうとするがお願いする前にグレンさんは扉を開けてくれる。早速、中に入って周りを見渡すとそこら中に本がぎっしりと並んでいる。これは目的の本がどこにあるのか全く分かりませんね、さぁどうしましょうと頭を悩ます。


「おや、初めましての方ですね。私は、ここで司書をしております。ウィル・フェルスターと申します、何かお困りでしょうか」


急に後ろから声を掛けられてビクッとするが、ここの司書さんかぁって何このイケオジ…めちゃくちゃカッコいいんですけどしかもとても優しそう。


「あ、すみません。この国についての本を探したいんですけど…」

「失礼ですが、お名前を伺っても?」

「えっと、アオイ・ツキノです。」

「あぁ、貴方が…」


えっ、私なんかしたっけ?初対面の人の記憶にあるとかなんかやらかしたとかしかないよね?こういう時は何したかわかんないけど、とりあえず謝ろう。


「あの、なんかすみません…」

「あ、いやそういう訳ではないんです。ははっ」


謝ったら、司書さんが笑われてしまった。


「すみません、ツキノ様は何もしていませんよ。本当は、私が案内して差し上げたいのですが生憎仕事が残っていまして…本の場所は補佐のクレアに案内させましょう。クレアちょっとこの方の案内をお願いしてもいいかい?」


親切に、わざわざ案内してくれるらしい。聖女でもないただの平民レベルの私を凄い申し訳ないけどここは大人しく案内してもらおう…


「クレアです…目的の本の場所まで案内します。」


えっ、クレアさん…超美少女ですけど!しかも可愛い!

この国って顔いい人しかいないの?私めちゃくちゃ場違いじゃない?と思いながらも案内してくれるクレアさんに着いていく。


「ここの棚です。」


種類ありすぎじゃないですか?とりあえず基礎系のものを読みたいな。


「クレアさんのおすすめをいくつか教えてもらえませんか?」

「えっと、わかりました。」


といくつか本を選んでくれる。あとこの国は魔法があるんだよね…

魔法の本もお願いしていいかな、恐る恐るお願いする。


「あの、この国は魔法があるんですよね…私魔法よくわからなくて魔法関連の本選びもお願いしてもいいでしょうか?」

「は、はいお持ちします…」


とりあえず、選んでもらった本を机に運ぼうとするが結構な重さで足元が見えなくてふらつく、それを見かねてグレンさんがすっと持ってくれる。


「ツキノ様、お持ちしますよ。あちらまででいいでしょうか?」

「はい、お願いします。」


グレンさんの視線の先にある机まで本をお願いした。ついでに気になったことは書いておきたいからとレーナさんに紙と書くものの用意をお願いをした。

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