第17話 娘が突然超絶イケメンを連れてきた件について
◇◇◇
「かっ、母さん!大変だっ!」
「どうしたんだい、そんなに慌てて」
突然玄関の扉をものすごい勢いで開け放ち、転がるように入っきた夫に目を丸くするマーサ。朝早くから狩りに出た夫のため昼ごはんの支度をしていた彼女は、夫のあまりの慌てぶりに、森で魔物にでも襲われたかと肝を冷やした。しかし、ダンに続けて入ってきた三人を見て思わず目を見張る。
「おやまあリリアじゃないか!久しぶりだねえ。元気だったかい?しかも、あらまあ、あらまあ、なんて可愛らしい子たちだろうね。この二人はお前の友達かい?」
「もう~!父さんってばちょっと落ち着いてよ。ただいま母さん!こっちは一緒にパーティーを組んでるロルフとフェンだよ」
「ロルフです」
「フェンです」
マーサに向かって丁寧にお辞儀をする二人に目を細める。
「リリアの母親のマーサだよ。よく来たね。ちょうど今ご飯にしようと思ってたところだよ。さあさあ、座っとくれ。ほら、リリアもおいで」
「ありがとう母さん。ずっと走ってきたからもう疲れちゃった」
「すみません、では、お言葉に甘えて」
「ごちそうになります」
三人を素早く席に座らせると、コップにたっぷりのミルクを注ぐ。
「ちょうどよかった。今朝お隣の牧場から搾りたてのミルクを届けてもらったんだよ」
「わあ~おいしいです」
「そうかいそうかい、まだあるからね」
こくこくとミルクを飲むフィンを優しく見守るマーサ。
「か、か、母さん!そんな場合じゃないんだっ!」
マーサは一人慌てるダンに首を傾げる。
「なんだい?ほら、あんたも座って。ご飯にしよう」
「こ、こ、こいつが、リリアの婿になりたいって!」
「はあ?」
ダンに指差されても否定せずにっこり微笑むロルフ。改めてロルフをしげしげと見つめたマーサは、ほう、とため息をついた。漆黒の髪に金の瞳。すらりと手足の長い絶世の美少年。ミルクを飲んでいる姿すら美しい。
「はっ、何を馬鹿なことを。まったく親ばかなんだから。この兄さんに失礼だよ」
鼻で笑ったマーサにリリアは軽く傷ついた。
「え?ちょっと母さん?どういう意味?」
「どういう意味も何も。パーティーの仲間だからって恋人ってわけじゃないだろ?」
やれやれと肩をすくめるマーサ。しかし、
「いえ、リリアさんと結婚を前提にお付き合いさせていただいております」
しれっと言い放ったロルフの言葉にダンと同じく固まったのだった。
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