第2話 非合法なエロ ディスク😆🎶✨

 つい半日ほど前の事だ。




 もうじき夏休み。



 容赦ない夏の日差しが眩しい。



 大学構内のエアコンもフル回転だ。

 もし今、停電になったらパニックだろう。


 熱中症で倒れる人が殺到する。



 やっと構内の学食で、友人の馬場アキラを見つけた。

「おォ~い❗❗ アキラァ~ーー❗❗」

 かなり強い口調で怒鳴った。



 学食にいる何人かが僕たちの方を見た。



「え、ああ…… なんだよ。ポチか❓❓」

 相変わらずニヤけたツラだ。



「誰がポチだよ。保志だ。僕の名前は❗❗」

 保志ヒカル。二十歳の大学生だ。

 断じてポチではない。



 今日はどうしても友人の馬場アキラに言いたいことがあった。

 アキラとは、小学校の頃からの腐れ縁だ。



 『ポチ』と言う屈辱的なアダ名もアキラが付けたモノだ。




「どうしたよ。ポチィ。怖い顔してェ……

 お前は笑った顔じゃないと……

 やしキャラなんだから、さァ~❗❗ 

 ケッケケェ……😆🎶✨」

 まったく嫌らしい笑い方だ。


 けれども、こんなチャラい男性ヤツがナゼかモテる。




 セフレが七人もいると豪語していた。

 事実、毎回違う彼女とデートしている。


 なんで、こんなゲス野郎がモテるのか、まったく理解出来ない。

 


 僕には、ひとりも彼女が居ないのに……。



 世の中、本当に不公平だ。



「フン、なんで怖い顔をしているか、教えてやろうか」

 僕は彼の真っ正面に座りクレームをつけた。



「え、別にィ……」言われる事はわかっているのだろう。

 すぐにそっぽを向いた。



「お前に貸した三万が返って来ないからだよ❗❗」



「え、ケッケケェ…… マジか。

 いつ借りたッけェ……😆🎶✨」

 アキラは笑ってとぼけた。



「お前❗ バックれるなよ❗❗ いったい いつになったら三万円返すンだよ……

 借りる時だけ調子よくッて、『絶対、期日通り、利子をつけて返すからァ~…』ッて泣きごとを言いやがってェ……」

 掴みかかる寸前だ。



「……😒💦💦」

 一斉に、辺りの学生たちが僕らに視線を向けた。

 だが、関わりあいになりたくないのだろう。すぐさま視線を逸らせた。



「いやいや、だって、ポチは給付金余ってるだろォ~~😆🎶✨」



「別に……、余ってねェ~よ」

 確かに使ってはいないが……。

 余っているワケではない。



「だって、お前ン資産家セレブじゃん…… お前ン部屋のあのマンションだって、ポチのモノだろ❗❗」



「だから、ポチじゃねぇッて❗❗

 あのマンションだって祖父ジーちゃんのだからな❗❗」

 大学から近いので祖父から借りている。



「良いじゃん❗❗ どうせ相続するンだし❗

 家賃もタダみたいなモンなんだろ。

 セレブなんだからさァ~…❗❗❗」



「家賃はタダじゃねぇ~よ。格安だけどな」

 確かに、祖父は資産家なので格安で高級マンションの一室を借りていた。



 当然、生前贈与分だ。年間、百万くらいは無税だ。

 ひと月、十万くらい贈与して貰っていた。



 どうせ、相続税で取られる分だ。

 節税のため生前に相続するのは当たり前だ。



「だけど…… それとこれとは別だろう。

 お前を信用して貸したんだから」



「ほら、だって、俺はポチと違ってモテるからさァ~…😆🎶✨」

 ケラケラ笑いながら、飛んでもない事を言ってきた。



「はァ~…、お前、ケンカ売ってるのか❗❗

 僕はモテないから金はいらないって、言うのかよ❗❗」



「違うってェ…… 彼女とのデートで使っちゃって…… ポチは彼女が居ないから、別に金に困らないだろォ~~😆🎶✨」



「ほっとけよ❗❗ 僕だって乃木坂のアルバムを買うんだから❗❗」



「良いじゃん❗❗ そんなアルバムなら、いつだって買えるんだろ。彼女とのデートは、今しかねぇ~し。

 なにしろ愛は待ってくれないからさ❗❗」

 歯の浮くようなキザな科白セリフを吐いた。



「るっさい❗❗ 何、カッコ良いこと言って誤魔化しているんだよ❗❗

 とにかく今日は返せよ。絶対に❗❗」

 


「わかった。じゃ、あのスペシャルディスクをポチに上げるから✨😆🎶✨」

 僕の横に座り、手で耳を寄せろとサインを送ってきた。




「ン…、スペシャル…… ディスク❓❓」

 なんだ。それは……。



『ちょっと耳を貸せよ。ヤバいディスクなんだからさ』

 声をひそめ、耳元で囁いた。


「ン…… なんだ」

 非合法のエロ ディスクか……。 

 おもむろに、アキラに耳を寄せた。



『いいか、お前だけにやるんだから……

 絶対に他には漏らすなよ』


「え、なんだよ……」大袈裟なヤツだ。

 

『ほら、これだよ』

 カバンの奥から真っ白なパッケージに入ったディスクを手渡してきた。


 見るからに、怪しげなディスクだ。



「な…ッ、なんだ。これ……」

 一見、中身も普通のディスクだ。



『ケッケケェ…… セクシークイーン姫乃樹アリスの『学校じゃ教えてくれない童貞レッスン』だよ』

 横から僕の股間をギュッと握ってきた。



「お、お前…… 握るな❗❗ バカか❗❗」

 こいつには羞恥心がないのか。



「ケッケケェ…… セクシークイーン姫乃樹アリスッて聴いただけで、股間のポ○ット ドラゴンがビ○ビンに反応しちゃうだろォ~~😆🎶✨」

 


「厨二病、真っ盛りか……」

 確かに僕は、姫乃樹アリスの大ファンだが。



「このアリスのディスクを見たらろもうじゃいられない身体になるぞ❗❗」

 また僕の敏感な部分を握った。



「フン、悪いけど…… 姫乃樹アリスのディスクは、ほとんど持ってるから❗❗」

 僕はアリスの熱狂的なファンだ。デビュー時からだいたい揃っている。


「残念だったな。『学校では教えてくれない童貞レッスン』シリーズも全部持ってるよ」

 


『フフ…… バァ~カ。これは特別版の無修正ディスクだよ』



「え、マジか……」無修正だって……。



「どうだ。これをやるから借金を半額にしろよ」

「うう、半額…… ン……❓ 

 マジで、無修正なんだろうな」

 


「ケッケケェ……、スゲェ~ぜ。もうアリスの『秘密のポケット』がバッチリ映っているからな」



「うう……」

 『秘密のポケット』がバッチリか。 


 確かに、アリスの無修正なら見てみたい。




「ケッケケェ……❗ もう秘密のポケットに詰め込み放題だぜェ……❗❗」



「ン……、何を詰め込む気だよ」


「ほら、ポチみたいな姫乃樹ヒメファンならが非でも欲しい逸品だろ❗❗」


「どこの深夜の通販番組だ」


「このスペシャルディスクを今ならポチに、一万五千円で譲ってやろうッて言うんだ」



「うゥ~ン……、マジか」

「これさえ有れば、もう今夜からソロ活動のオカズに困らないだろォ~❗❗」



「どんなオカズだよ」


「ドンブリ三杯くらいペロッて具合だよ」

 また僕の股間を握ってきた。



「うう……、ッたくゥ……、わかったよ」

 借金を半額、チャラにする代わりにアキラから、その怪しげなディスクを戴いた。




 楽しみで股間が膨らんだ。




 無修正ディスクを見るため、一目散いちもくさんに僕は自宅の部屋へと急いだ。


 


 





∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆∠※。.:*:・'°☆

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