第8話 未 知


Strange


……いったい何が起こったと言うのか。


気が付くと、SMC3000は沈黙し、船内はに包まれていた。クルー達からも物音一つしてこない。


「大丈夫か? ケイト」

すぐ傍で横たわる、私の大事な天使に声を掛けた。


「ええっ」

ケイトは黒目勝ちの瞳をむき出し、視線が合わない。まるで冥界でも彷徨さまよっているかのように、朦朧としていた。



【All Cleared! All Cleared! 危険は去りました。All Cleared! 】

SMC3000のアナウンスが、穏やかに流れた。


いつの間にか、すべてが去っていた。

私たちを襲った大嵐も。静寂の嵐も・・・・・・。


この後私は、各ポジションの点検を依頼した。


暫らくは、急を要する異常報告は無く、安堵していると。


「コスモ・ドライブ、緊急停止! キャップ!」

突然、慌てる声が私の鼓膜を震わせた。それはマイケルからの報告だった。


すると間髪を入れる間もなく、再びSMC3000のアナウンスが。

【Attention! Attention! 人工重力消失! アストロブーツ、セットオン。】

加速度飛行を続けていたSSアーク号は、等速度飛行に切替わったのだ。

私たちは、不自由な無重力の檻に、また収監された。



未曾有の危機から辛うじて逃れることができたと思ったら、SSアーク号に新たな問題が。

 私達の行く手を塞ぐように、が現れた。


「ここは一体、どこの宇宙域なのだ?」

有視界モニターでも確認できる。惑星らしき天体が、視界に入って来た。


……まさか火星?


COSMO ISLANDを出航してまだ5日。こんなに早く火星に到達できる筈もない。


SSアーク号は、ゆっくりと謎の天体に接近している。

それは、新たなアドベンチャーへの序章なのか。

それとも、未知なる大宇宙の思し召おぼしめし、人類への命題なのか。

果たして、運命のコンパスは、何処を指しているのだろうか。


私たちを乗せたSSアーク号が立ち向かう、人類最後のフロンティア『宇宙』へのアドベンチャーは、まだ始まったばかりである。

 

 

       了

 

 

 


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宇宙の嵐 MASATO @suqs8203

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