あらすじを読んだとき、おそらく誰もが「なんで?」と思うでしょう。 Aさんはお調子者だから心霊スポットでふざけて幽霊に反感を買うんじゃないの? しかし、よく考えてみると墓地に肝試しをしに行った時点で全員が不謹慎なのです。案の定お坊さんに説教をくらい……まさか、このあとの行動が生死を分けることになろうとは……。
『怖い』の表現、それがあらわれるまでの供述のしかたが巧みです。読者に想像させる余地があり、だからこそより恐怖感が増します。この恐怖をどう解釈するかは、個々によってさまざまなものがありそうとも思います。 読みやすい短編なのに、うすら寒い余韻が残ります。