第17話

「それじゃあ、練習始めよう!」

私たちは体育館に送ってもらい、目の前にいる琉愛にそう言う。

そして、私は彼女にどういう練習をするべきなのか、ということを指示する。

彼女に最初にやらせる練習は素振り。フォームを固めない限りは、シャトルも飛ばないし、強いスマッシュも打てない。その理論はしっかりと彼女もわかってくれているようで、どういうフォームで打つべきなのかということを私に聞きながら、やってくれている。

バドミントンはシャトルを上で打つフォームと下で打つフォームの2種類が存在する。それもフォアハンドとバックハンドと分かれている。

今、琉愛にやってもらっているのは、フォアハンドの上で打つフォームの素振り。一番基礎的だけど、一番重要。例えば、

「琉愛、打つ時の足の動かし方とか、体の向きとか気を付けて」

「わかった!」

このフォームでは、自分の利き手と同じ側の足を後ろに下げて、打つ瞬間に逆足を後ろに、そして、後ろに下げていた足を前に出す。

これが基本的な足の運び方。琉愛の場合は右手がラケットを持っているため、右足を後ろに下げて、そこから振る。

また、公園などでカップルとかがやっているバドミントンの大半がこのフォームをするときは真正面に体を向けていることが多いが、競技用バドミントンでは打つ時は絶対に体は横向きにならなければ、強いものは打てない。それだけ、体重移動が行われないと速いものが打てない競技なのだ。

ちなみに琉愛はそこまで下手というわけでもなく、しっかりと私のアドバイス通りのフォームをしてくれている。さすがは文武両道と言ったところかなという感じ。

「やっぱりすごいね、琉愛は」

「ん?どうして?」

「フォームがもうキレイだよ、もう修正するところないよ」

「えー、ほんと?それはうれしいな!」

「それじゃあ、今度は下の方のフォームできる?」

「うん、わかった!」

今度は下のフォームをやってもらう。

下のフォームのコツは手首のスナップかなって私は思う。肘を曲げて伸ばして、手首をスナップさせて、シャトルを遠くへ飛ばす。その時、ラケットを持っている側の足はしっかりと前に出して、打つようにする。

まあ、でも、私の彼女はなんでもできるので、フォームもキレイですね。言うことないです。はい。

「うん、フォアもバックもどっちとも文句のつけようがないです」

「ほんと?」

「ほんとほんと、キレイだね」

「昔の奏空のフォームずっと見てたからかもね」

と言いつつ、思い出にふける私の彼女。まあ、そうかもなと思いつつ、次の練習に進めるように琉愛に指示するのであった。

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