第10話

私はなんのためにどんな分野に秀でようと思ったのか。

そんなことは知らない。

とか言ってたら、本当の「天才」なんだろうなっていつも思う。

私はその目的は鮮明にわかっている。

だから、私は「凡才」なんだと思う。

私の今、目の前にいる必死に自分の口調を直している私のタイプにドストライクな子になってしまった奏空は「天才」だったなってそのことを思うたびに思う。

彼は小学校の時、バドミントンダブルスで全国一になったのだ。

彼はダブルスは

まあ、今は「彼」というよりは「彼女」と呼ぶ方が正しいかもしれないが。

彼女と呼ぶことにしよう、付き合ってるわけだし。

彼女に私はその優勝した時に聞いてみたのだ。

「なんで、バドミントン頑張ろうと思ったの?」と。

そしたら、かr、彼女はこう答えたのだ。

「なんとなくかな」

私はその時、彼女を「天才」だなと確信したのだ。

「天才」って才能に頼るからダメとか言われてるが、私はそうとは思わない。

真の「天才」は努力もするから、その才能が更に磨きがかかるのだ。

彼女は自身のバドミントンの才能を努力で磨いたのだ。

ダブルスだから、ペアの相手の子が天才だったんだろとか、言われるかもしれないが。

その彼に聞いてみたのだ。

「奏空はどんな感じ?」って。

そしたら、

「奏空は努力する天才なんだよ。だからさ、俺もあいつ並みのことを要求されてさ、それに追いついていくのに必死だったよ。いつも誰か変わってくれっていつも思ってたんだ。でもさ、クラブのコーチに言っても、『お前以上にあいつに付いていけるやつはいないんだ。だから、我慢してくれ』っていつも言われてよ。それで、あいつに言ったんだよ。シングルスやってくれないか?って。そしたらさ、『俺はシングルスよりダブルスの方が楽しいから』って。ふざけんなよって思ったわ、そんときは」

と話してくれた。

彼曰く、コーチがシングルスダブルス両方をやらせるのはその「天才」の彼女の将来的なことを考えて、あまりよろしくないと思って、専門にさせるために、彼女の好きなほうを選ばせたらしい。

そのため、彼女が「天才」であることがバレてしまったのだ。

それとも、やはりと言うべきなのか、そのせいなのか言うべきのか、彼女は全国のバドミントンファンが注目するようになり、いつかは世界で活躍するような日本屈指のプレイヤーに誰もが思っていた。




あの“事件”さえなければ。

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